さてさて、どうするかね。
普通に商店街を歩いていると、さぼてんのおじさんとおばさんが出てきてくれた。
おじさん「あなたちゃん!昨日はありがとうね。パン、持っていきなよ」
おばさん「あら、私も見たかったわ〜あなたちゃんの晴れ舞台」
あなた「いやいや、それほどでも。パン、ありがたくいただきます!」
中を見てみると、カレーパンだった。
すごく美味しそう。
この商店街では、「さぼてん」のパンは冷めても美味しいって有名だし、入学式の後とかに食べようかな。
なんて、軽い気持ちで思っていたんだけど。
遠くから、人を叩く音が聞こえる気がする。
さすがに気のせい……だよね?
すると、私の肩を激しく叩く人物がいた。
エプロンを前掛けしているお姉さんは、顔が蒼白しており、緊迫感を物語っていた。
お姉さん「あの、風鈴高校の生徒さんですよね!?助けてください!」
あなた「……わかりました。あの、応援として喫茶店ポトスに行って、ちょっと人を呼んできてくれませんか?風鈴高校の生徒なんですけど」
万が一、私の力では勝てないかもしれないから、応援は呼んでおこう。
お姉さんは力強く頷くと、私の辿ってきた道を戻って行った。
私も音の聞こえる場所まで、走って急いだのだった。
誰もいない路地裏で、音が聞こえる。
あなた「よっ……と」
私は、パルクールのように上によじ登り、せいっと掛け声をして、落ちて、不良の顔面に蹴りを入れておく。
そこには、見覚えのある金髪。
あなた「にれくん!」
楡井「あなたさん!?」
そこにはボロボロになっている、にれくんの姿があった。
やっぱり、数人の団体で、にれくんを寄ってたかっていじめていたらしい。
私は拳を構える。
あなた「人ひとりいじめててさ、楽しいの?あ、女探し邪魔されちゃった?」
不良「テメェ、口の聞き方には気をつけろよ……!?」
あなた「ふふっ、それ、弱いヤツが吐くセリフなんだよ。知らなかった?」
楡井「あなた、さん……っ!ダメです!女の子じゃ、そんなっ、パワーに敵わない!」
にれくんが必死に、私を引き止めようとする。
きっと、戦ってほしくないんだ。
私は仮にも風鈴高校の生徒である前に、女の子だから。
にれくんは、気がつかえる優しい男の子だから。
でも、風鈴高校に行くと決めた時から、覚悟はできていた。していた。
だから、何も問題はない。
あなた「さっ、女に負けるなんて、どんな気持ちだろうね?」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。