第5話

[悪い人] 水 × 黄
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2025/12/12 15:12 更新


水黄双子パロ
もちろん死ネタ

『光が死んだ夏』を参考にしてます。あんなに愛に溢れてないけど。


 その日は鬱陶しくなるほど青く、目に染みる空がどこまでも続く日だった。
 … こんな事を思っているとは彼は知らないだろうし、たとえ教えて理解を求めても、それが無駄であることは分かりきっていた。

  そんなあの日も、彼は笑っていた。

 …ああ、そう。ここでいう「彼」とは、双子の兄の事である。

 蜂蜜色の瞳とふわふわとした癖のある髪、ぱあっと顔を輝かせて笑う兄は、なつくんやまにきとはまた違った雰囲気の美少年。
 おまけに優しくて周りのことをしっかり見ることができて、少し天然で鈍感な部分もある王子様気質。好かれないわけがない、嫌われる要素のない『素敵な男の子』。
# 黄
こさめちゃん、待ってぇやぁ
# 水
みこちゃん遅い、
いつまで靴紐結んでんのー

 ただでさえ人数の少ないこの田舎の分校でも彼は人気者だった。
 年上のらんくんとすっちーも、にこにこしてみこちゃんに接してて。
 かといって、俺を見捨てるわけでもなくて。
 みんなの優しさに甘えながらなつくんとまにきも加えて、だいたいこの幼馴染六人でいた。楽しかった。



 けど、やっぱり駄目だと、最近ようやく気がついた。




 俺がみんなと一緒にいられて、笑えて、楽しくいられたのは、全部みこちゃんがいたから。
 みこちゃんが笑うから。みこちゃんが嬉しそうにするから。俺がみこちゃんと双子だから。これだけ。
 俺のことは、『雨乃こさめ』のことは 誰も求めてなかった。

 嫉妬と同時に納得もした。同じことを俺とみこちゃんが話しても、みこちゃんのほうがずっと魅力的で楽しい話に聞こえるし、同じ服を着ても同じ靴を履いてもみこちゃんの方が似合って見える。
 羨ましくて妬ましくて、でも納得できてしまうこの格差が随分とまあ、嫌いだった。
 だから、殺そうと思った。みことという人間の命を、完膚なきまでに壊してやろうと思った。


# 黄
ごめんごめん、やっぱりおれにはマジックテープの方がよかったかなあ
# 水
中二にもなってマジックテープ履いてたんみこちゃんくらいやで?
# 水
せっかく買ってもらったのに文句言わんの
# 黄
んー、そうかあ。こさめちゃんみたいにボロボロになるまでは頑張ろうかなあ


 それ、煽ってる? と返すと、違うよ違うよと彼は慌てて弁解し出す。純粋なみこちゃんのことだ、どうせこさめが『物を大事にできる』とかいう意味で言ったんだろう。
 本当は欲しいスニーカーだってあるけど、街まで遠いし高いから、母さんに言い出せないだけなのに。

# 黄
ほんまに待たせてごめんな。帰ろっか
# 水
……せやね

 そう言う些細なことですぐ謝ってにこって笑うとこ。

 いい子すぎてほんま、腹立つ。


# 水
……みこちゃん、今日、脇道通って帰らへん?
# 黄
え?
# 黄
でもあそこ、夏は蒸し暑くて熱中症になるよって、前にすっちーが……
# 水
でっかい紅葉樹あるやん。あれが日陰になるから大丈夫、行こう
# 黄
……うん……?

 アブラゼミが五月蝿くて鬱陶しく思っていたあの木も、みこちゃんを連れ出す理由になったのだから、今だけは感謝できる。
 半ば強引に連れ出したにも関わらず、ニコニコと鼻歌を歌いながら俺の前を歩くみこちゃんは馬鹿らしくて、ほんまにうざかった。

# 黄
……なあ、こさめちゃん
# 水
なあに、みこちゃん
# 黄
ここまで来てあれやけどさ、やっぱり引き返さへん?
# 黄
ここ人通りも少ないし、階段めっちゃ急やし……

 少し歩いて石垣と石垣の間にある、神社の近くの脇道。そこを少ししたところで、みこちゃんはそう言ってきた。
 もう長い間整備されていないと言う、ほとんど潰れたと言っても過言ではない神社の石階段は確かに急だ。さらに、ここ数日の雨で少し湿っていて、足を滑りでもしたらそれまでだろう。

 ここを通る危険性は分かっているけど、むしろそれを理解しているからこそ、ここを選んだのだ。
# 水
……ただ歩いて帰るだけやん。何ビビってんの?
# 黄
そうやなくて、こさめちゃんに何かあったら危ないし……遠回りにはなっちゃうけど

 「な?」と、俺の目を見て問いかけるみこちゃん。
 こさめの名前を出して心配しているように見えるけど、実際は「行かないほうがいい道を通る」ことに罪悪感があるだけというのを、俺が一番よく分かっている。

 みこちゃんを無視して歩き出した。ジメジメとした空気を切り裂くように前に進んで、ちょっとの砂と土を踏みしめながら階段を降りていく。

# 黄
あ……! 待って、こさめちゃん!


うざい。うざい。うざい。うざい。うざい。うざい。うざい。


あともう少し、もう少し降りれば


# 黄
こさめちゃん!
# 黄
ねぇ、こさめちゃ_______
# 水
俺がここから帰りたかったのはさ


 そこでようやく歩みを止めて、みこちゃんの方へ勢いよく振り向いた。

# 水
お前を殺したかったからだよ

 そう言って、みこちゃんの手首を強くこちらに引き寄せた。


# 黄
……こさ、


蜂蜜色の瞳が大きく見開かれる。

わかんないよね。わかんなくていいよ。
わからないで。大好き。




 ごめんね。ほんと、こさって悪い人。











# 桃
死ぬ瞬間って、どんな感覚なんやろなあ
# 赤
急に重、w
# 桃
最近さ、自殺未遂したひとの記事をパソコンで見たんよ
# 桃
俺は今んとこ自殺する予定はないけどさ、でもいつかは人間って死ぬわけじゃん?
# 桃
死ぬって、どんな時なんだろうなって
# 水
そりゃあもちろん! するめいかがなくなったとき!!
# 緑
それはこさめちゃんだけじゃない?
# 紫
俺もこさと似てるかも
やっぱラップができなくなった時かな
# 紫
みことは?
# 黄
うぇ、おれ?
# 黄
おれは……






# 黄
……大事な人が、自分のこと見てくれなくなった時かなあ







 六人で会話した内容を、今思い出した。
 あの頃はお前中身なさすぎだろとか、メンヘラとか、俺たちはお前のこと忘れねぇからとかいろいろ言われたけど、いまならわかる。


 こさめちゃんは、あの時の俺の発言をちゃんと聞いてた。誰よりもしっかり聞いて、理解してた。



 こさめちゃんは、俺を殺したかった。




# 黄
……こさ、めちゃん




 ガツンと鈍い音が鳴って、その綺麗な青鈍色の髪色から赤い液体が流れていく。


 こさめちゃんは全部理解わかってたんだ。どうすれば俺を殺せるのか、ちゃんと知ってた。



 だから、自分を殺すことで俺を殺した。


# 水
……
# 黄
……
# 黄
……ごめん、ね



 こさめちゃんの行動の意味を理解してもなお、こんな薄っぺらい謝罪しか出てこない。

 ねぇ、君は、どうして俺を殺そうと思ったの?
 それは君を殺してもなお、やらないといけないことだったの?



それとも、






 ……いや、わかんない。





 わかんない。わかんなかった。

 おれはみんなみたいに頭良くないし、こさめちゃんの全部を理解できないと思った。




 だったらそれでいいじゃない。

# 黄
(これはこさめちゃんが、俺にしてくれた唯一の愛情表現なんだから)


ごめんね、大好き。ごめんね。


 ほんとおれって、悪い人やな。







何を書いていたのか自分でも忘れました。誰かいい感じにリメイク待ってます。





https://odaibako.net/gacha/33029


余談なのですが、昨今の夢女子やオタク女子の間で流行している(らしい。作者の認識)お題ガチャというものを作ってみました。
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よければ感想も聞かせてください。いいですか、あなたに言ってるんですよ、そこの紫桃至上主義。

以上、宣伝でした。

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