第25話

ハクVS月夜
2,530
2023/08/30 15:35
マダラとの再開に、少し複雑な気持ちを抱えたまま、帰り道へと向かった。

しかし、タズナさんの家が近くまで来た時、何やら騒がしく足を早めた。
近くまで行くと、目の前には男二人が倒れていて、完全に気を失っている。
月夜(夢主)
何これ?どういう事…って、ナルト君...!良かった...一体何があったの?
「へっへーん!」と、嬉しそうに前に立つと、私にピースサインを送る。
うずまきナルト
俺ってばこいつらを倒して、イナリと母ちゃんを守ったってばよ!
なるほど…後ろにいるイナリくんと、気絶してるツナミさん。

カカシ先生が居ないことから、留守の間を狙ったのだろう。

この状況は恐らくガトー…または、再不斬の仕業。だが、そうだとすれば今すぐにでも、カカシ先生達を追わないといけない。
月夜(夢主)
なるほど...ナルトくん、2人を守ってくれてありがとう。
うずまきナルト
当たり前の事をしただけってばよ〜
月夜(夢主)
じゃあ…私達は急いでカカシ先生達の所に行こう。
私はイナリくんに「お母さんを頼むね。」と言い、ナルトくんと急いで、カカシ先生の元へと走った──────。
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一方その頃、カカシは再不斬と戦い、サスケはハクと戦闘を開始していた。

サクラはタズナさんを守るように後ろにし、2人を見守る事しか出来なかった。
春野サクラ
『お願い...ナルト、あなた。早く来て……!』
うちはサスケ
なんてスピードだ・・・ぐっ!
ハク
僕の血継限界はどうですか?
では、そろそろ終わりにしましよう。
サスケに向かって、またも針を刺そうと動いたその時だった──────。

バリーン━━━━━━━━━!!
ハク
なっ…僕の術を破壊された!?
どういう事だ...まさか!
術で作った氷の鏡が、何者かの攻撃により全て割れてしまった。

後ろを振り返ると、離れた場所から月夜と、ナルトの姿が見えた。
月夜(夢主)
ナルトくん!
今のうちにサスケ君を!!
うずまきナルト
すっ・・・すげぇ!あぁ!サスケは任せろ!
ハク
そうはさせません!!
負傷しているサスケを、ナルトが助けに行こうとするが、ハクがナルトに向け千本針を向けた。

しかし、月夜が止めに入ると、羽交い締めにし、ハクの手足を拘束する。
月夜(夢主)
邪魔はさせないよ。
ハク
(凄い握力だ...。)

貴方は再不斬さんを追い込んだ忍びですね?良いでしょう...まずは貴方から消します!
月夜(夢主)
ナルトくん!
ここは私に任せて再不斬を!
うずまきナルト
おう!任せたってばよ!
ハク
ふふ...それでいいんですか?
サスケを抱えたナルトを見て、声を漏らし笑いながら口を開く少年。
月夜(夢主)
何が...?
ハク
再不斬さんは強いですよ。
前のようには行かない...。

そして僕は再不斬さん程では無いですが...腕には自信があります。
月夜(夢主)
私は友人を信用してるから、任せたんだよ。それに...腕に自身があるのは、貴方だけじゃない。
ハク
友達...そうですか。ふふっ...。
そうですね、簡単に倒せる人では無いと思っていますよ?"あなたさん"
2人は睨み合うような形でお互い向き合う。

少年の顔は見えないが、お面の下からは余裕の笑みが伺える。

タダならぬ、2人の殺気がぶつかり合い、互いにいつでも動けるように身構える。

そして、向こう側でカカシと再不斬がぶつかりあった瞬間_______________。
ハク
秘術...魔境氷晶まきょうびょうしょう!!
月夜(夢主)
氷遁・狼牙の爪!!
互いの印を結ぶスピードは、同じ。

月夜は印を結んだと同時に、四足獣の様な体制になると、地面に向けチャクラの斬撃波を飛ばす。
地面がエグり取られながら、かなりのスピードで範囲もでかい。

しかし、ハクもスピードなら負けない。
月夜と同じタイミングで術を出し、先程の鏡の氷を囲うように複数出す。

そして、斬撃が当たるスレスレに鏡の中へと入り込むと、月夜の斬撃は氷の鏡と当たると同時に、カウンターのごとく跳ね返ってきた。
月夜(夢主)
っ......!?跳ね返ってきた!?
どうして?さっきは破壊出来たのに。
ハク
ふふ、驚きましたか?外側は脆いですが内側はとても硬いんですよ。
跳ね返ったのは恐らく...貴方も僕と同じ氷遁だからでしょうね。

さて...ここからは僕のスピードに着いてこられるかな?
チャクラ性質が同じなのは盲点だったと、眉を寄せる月夜。

その間、次の策を練る前に、ハクは月夜に余裕を与えない。

目では追い切れないスピードで、次々から次へと、氷の鏡から別の鏡に移動する。
まるで、光の反射だ。移動する度に、何処から千本針が飛んで、防ぎようが無い。

考える暇も、攻撃する暇も無く、月夜の体は太い千本針がいくつも刺さり、ただ刺さっている。
そして、何より厄介だったのが、確実にツボを狙い、針には毒が塗られていた。

体が痺れ、毒による吐き気と目眩もする。
月夜(夢主)
なるほど...再不斬を仮死状態に出来たのはそういう事か...。ハァハァ...ゔっ!(呼吸もしづらくなってきた...)
ハク
ふふ...何だ、大したことないじゃないですか。

そろそろ僕は、再不斬さんのところに行く為、終わらせますね。
ハクは、月夜に対し、決して油断を怠る事は無かった。

彼女を最初目にした時、自身の生存本能が、危険だと知らせていた。

だからこそ、最後まで手は抜かない。

鏡から、鏡へ、と移動し、千本針を確実にツボへと狙いを定める。
そして、確実に動けなくしたと同時に、背後から心臓目掛け、針を突き立てる───。
ハク
(勝った...!!)
ガシッ━━━!ギチギチギチ!!
ハク
なっ!そんなっ...!
月夜(夢主)
ずっと私に近づくのを...
十五尾
待っていたぞ小僧。
彼女の声とは思えない、ドスの効いた獣の声。

その明らかな殺気に、気づいた時にはもう遅く、腕を背中から現れた青黒いチャクラに纏わりつかれ、激痛がはしった───。
ハク
っ"ぁ"あ"あ"あ"━━━!!?
「シュウウウゥゥーーーーー。」
自身の腕が、この1人の少女により凍傷の火傷を負わされている。

何とか腕からこの尾のチャクラを外さなければ、いずれ骨に到達してしまう...!

千本針を取り出し、彼女の瞳目掛け突き立てたが、やはり無理だった。
もう1つの尾が絡み付いたと同時に、腕を持ち上げたまま、身体が宙に舞った。

そして、背負い投げのように地面へと叩きつけられ、背骨から嫌な音がした。
ハク
「ミシミシッ!ゴキッ!!」
あ"あ"っ"───!?
月夜
あはっ!あはははは!!
身体中、あちこちが痛く、今にも意識が飛びそうな中、彼女は高笑いしていた。
そして、傷みだけではなく、心まで折るように、獣の咆哮ホウコウが広がると、術の鏡が全て粉々に割れてしまった。
月夜
あ”ォォォォオ”━━━━━ン”!!
ハク
(あぁ...なんて事だ。)
「パキツパキッ」
ハク
(再不斬さん、ゴメンなさい。)
飛び上がった彼女が、殺気を込め満面の笑みで拳を向けている───。
ハク
(僕はこの子に勝てません...。)
面のヒビが広がり、月夜の拳を目の前にしてバラバラと地面に破片が全て落ちていく...。
月夜
......!!
ハクの素顔が現れ、拳を寸止めする。

この顔は見た事ある...。
朝一緒に薬草を摘んだ人だ。

ゆっくりと、自分の殺意が落ち着いていくのが分かる。

チャクラの尾は消えていき、琥珀色の瞳がハクを上から覗き込む。
月夜(夢主)
...あの時の人だったんですね。
ハク
...なぜ拳を止めるのですか。
月夜(夢主)
殺す程の悪人じゃないから。
人昔の自分なら、確実に仕留めてたけどね...それに...
そう、一昔前なら迷わなかっただろう。
だが、再不斬との1体1での戦いの際、ナルトくんに言われた言葉が脳裏に過ぎり、この少年に対する殺意を消したのだ。
ハク
...あなたさん。貴方は...再不斬さんに”同じ人間”だと言われましたね。
月夜(夢主)
・・・えぇ。
ハク
...貴方は再不斬さんよりも、とても哀しく、冷たい瞳をしている。
再不斬さんは確かに、殺人鬼で数え切れないほど殺している。

”鬼神”だと言われているが、人間味のある優しさがあると、僕は気づいていた。

そんな優しい再不斬さんだからこそ、僕はあの人の道具として守りたい。

だけどこの子は違う。

まだ何も知らないんだ...愛という形を。

まるで、両親に殺されかけ1人になった時の昔の僕のようだ。
ハク
嫌味に聞こえるかも知れません。だけど、僕は、色々な可能性が貴方にあると思ったんです。この先、それが見つかる事を願います...。
月夜(夢主)
...ありがとう。ハク、貴方は...
ついさっきまで、互いに殺意を込めていたのに不思議だ。もはや互いに敵意は無く、和解同然だった。

そして、ハクと話がしてみたいと持ちかけた、その時だった───。
ハク
……っ!!すみませんが僕は行かなければならない用事が出来ました。
月夜(夢主)
待って……ハクさん!!
もう動ける程のチャクラなんて、無いはずなのに。体を無理やり起こし、私の方をチラッと向くと目が合う。

彼は口パクで"『さようなら』"と笑いその場から姿を消してしまった───。

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