阿部side
あなた「亮平はそんなに私に会いたいの〜?」
図星だった
ていうか言われて自覚した
あぁ、俺あなたに会いたかったんだって
今日の謎のイライラはあなたに会えなかったからなんだって
心の中を見透かされたみたいで咄嗟に否定したけど多分…
いや絶対バレてる
だってめっちゃニヤニヤしてるんだもん
俺は居た堪れなくなってまたあなたを無言で図書館へ引っ張って行った
図書館に着いた俺たちは各々本を手に取って読み始めた
俺はチラッと横にいるあなたを見上げた
思わず息を呑む
すごい綺麗だったんだ
勝手なイメージだった
元々綺麗というよりは童顔で可愛いって感じだし
俺よりずっと年上なのに子供みたいに笑うし
スポーツ万能という話も聞いてたから
読書とかインドアなことは苦手だって思ってた
初めて見る真剣なその横顔
あなた「……?ん?どした?」
見すぎたのか俺の視線に気づいたあなた
流し目で微笑んで俺を見る
顔に熱が集まるのが分かった
あなた「え、ほんとにどうした?熱ある?」
『暖房が暑いだけだし!』
あなた「お、おう、そうか」
………
俺ってほんと可愛くない
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。