第38話

オロチなりの勇気
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2025/04/29 09:26 更新
百瀬アリサ
百瀬アリサ
ありがとうオロチ。
いつも送ってくれて
オロチ
オロチ
礼には及ばない
百瀬アリサ
百瀬アリサ
ふふっ、オロチってば
いつもそう言ってるね?






















































































































その後、いつものようにアリサを家まで送って

アリサの両手をそっと握っていたオロチ。























































































オロチ
オロチ
…1分でも、1秒でも長く
お前の傍に居たくて
俺が勝手にしているだけだ
百瀬アリサ
百瀬アリサ
…えっ…?
オロチ
オロチ
…あっ…!










































































































すると、オロチは不意に口にした言葉に

自分自身も驚いていた。
























































































百瀬アリサ
百瀬アリサ
オロチ…? 今のは…
オロチ
オロチ
な、何でもない! 気にするな///




















































































握っていたアリサの手を離し、

頬を染めながら視線を逸らす。







































































































































百瀬アリサ
百瀬アリサ
…嬉しいよオロチ
オロチ
オロチ
何?

































































しかし、オロチとは裏腹にアリサは

嬉しそうな表情をしていた。




















































































百瀬アリサ
百瀬アリサ
だって、私もオロチと
同じ気持ちだから…///
オロチ
オロチ
同じ…だと…?
百瀬アリサ
百瀬アリサ
そうじゃなかったら
お弁当作ったりしないよ。
オロチは大切な友達だから











































































































そう言いながら今度はアリサの方から

オロチの両手を握った。


























































































オロチ
オロチ
《…確かキュウビは
初デートは映画館より
遊園地がいいと言ってたな。
そしてキュウビも現在
アリサを狙っている。
…という事は…》
















































































































_____________________



































































































































キュウビ
キュウビ
良かったら今度一緒に
遊園地に行かないかい?
百瀬アリサ
百瀬アリサ
本当? 行ってみたいな。
私、遊園地にはまだ
1度も行った事がないの。
キュウビ、案内してくれる?
キュウビ
キュウビ
もちろんさ。君の為なら
喜んでエスコートするよ
百瀬アリサ
百瀬アリサ
ありがとうキュウビ。
楽しみにしているね?

































































































































_____________________


























































































































オロチ
オロチ
《このままずっとアリサを
映画デートに誘わなかったら、
キュウビに先を越されてしまう。
…それだけは何とかせねば! 》















































































キュウビが遊園地デートに誘い、それを

受け入れるアリサの光景を思い浮かべ、

オロチは焦っていた。




















































































百瀬アリサ
百瀬アリサ
オロチ…?
オロチ
オロチ
…? 何だ?
百瀬アリサ
百瀬アリサ
何だ? じゃないよ。
またボーッとしてる。
今日のオロチ、変だよ?
オロチ
オロチ
む…すまん…
百瀬アリサ
百瀬アリサ
エンマ様との約束を
守りたいのはわかるけど、
時には休む事も大切だよ?
オロチ
オロチ
百瀬アリサ
百瀬アリサ
お弁当、傷む前に食べてね?
オロチ
オロチ
あぁ、わかっている
百瀬アリサ
百瀬アリサ
その…良かったら
味の感想聞かせて欲しいな?
オロチ
オロチ
わかった















































































































アリサはオロチの手をゆっくり離し…。























































































百瀬アリサ
百瀬アリサ
じゃあ、またねオロチ
オロチ
オロチ
あぁ



































































































軽く手を振り、アリサはコマ兄弟と

同居している家のドアに手をかけ…。














































































































































































オロチ
オロチ
アリサッ!!



























































すると、オロチはアリサがドアを開ける手前で

一瞬で近付き、アリサの腕を掴む。






































































































百瀬アリサ
百瀬アリサ
なっ…ちょっ…?!































































































それに驚いたアリサは、慌ててオロチを

家から離れた場所へ連れていった。







































































































































百瀬アリサ
百瀬アリサ
バカッ!! コマさん達が
起きたらどうするの!?
オロチ
オロチ
す、すまん…

















































































































































アリサがオロチを素早く連れてったおかげで、

眠っているコマ兄弟に気付かれなかった。






















































































百瀬アリサ
百瀬アリサ
…やっぱり私に何か
言いたいんでしょ?
オロチ
オロチ
百瀬アリサ
百瀬アリサ
私、以前は母だった人に 
気になる事があったら
追求してたんだけど、
うるさいって言われて
ビンタされた事あるから。
それ以来、相手に何か
言いたい事があったとしても
深く追求する事はやめたの
オロチ
オロチ
…そんな事もあったのか
百瀬アリサ
百瀬アリサ
…軽いトラウマだからね
オロチ
オロチ
そうだろうな。だが、
俺はそんな事しない
百瀬アリサ
百瀬アリサ
そう…? なら、聞いてもいい?
オロチ
オロチ
あぁ
百瀬アリサ
百瀬アリサ
わかったよ。
《そうだよね。あばれ大蛇って
呼ばれてた頃のオロチなら
わからないけど、少なくとも
今のオロチはそんな事しない》

























































































アリサはゆっくり深呼吸して…。
























































































百瀬アリサ
百瀬アリサ
…ねぇオロチ? 言いたい事が
あるなら、はっきり言って?
気になるから…
































































































意を決してオロチの目を真っ直ぐ見つめ、

アリサは問い掛けた。




















































































































オロチ
オロチ
わかった。お前がそこまで
勇気を振り絞ったんだ。
…次は俺の番だ
百瀬アリサ
百瀬アリサ
うん、お願い
オロチ
オロチ
《意中の相手をデートに誘う。
アリサを好きになった時点で
これも定めだったのだな》

































































































オロチはアリサの目を見つめ返し…。
























































































オロチ
オロチ
…アリサ。良ければ俺と
一緒に映画へ行かないか?
百瀬アリサ
百瀬アリサ
…へっ?



























































































勇気を振り絞り、オロチは遂に

アリサを映画デートに誘ったのだった。
























































































百瀬アリサ
百瀬アリサ
いきなりどうしたの?
ってか、オロチが私に
言いたかったのはそれだけ?
オロチ
オロチ
それだけって…
百瀬アリサ
百瀬アリサ
もっと深刻な悩みかと思ったら、
…一緒に映画行こうって…












































































アリサにとっては生まれて初めての出来事で、

若干戸惑っていた。


















































































































オロチ
オロチ
なっ…嫌なら嫌と、はっきり
そう言えばいいだろう!
百瀬アリサ
百瀬アリサ
…? 誰がそんな事言ったの?
オロチ
オロチ
どういう意味だ?
百瀬アリサ
百瀬アリサ
いや、映画に誘うだけで
そんなに勇気が必要なのか
疑問に思っただけだよ?
オロチ
オロチ
…アリサ…相変わらずお前は
男を知らないんだな…
百瀬アリサ
百瀬アリサ
…? 
《前にも言われたけど、
それは一体どういう意味? 》
オロチ
オロチ
お前にとっては些細な事でも、
俺にとっては…
百瀬アリサ
百瀬アリサ
オロチ…?
オロチ
オロチ
…いや、何でもない。
それで、行ってくれるのか?



















































































































































































































百瀬アリサ
百瀬アリサ
いいよ。行こう
オロチ
オロチ
…! 本当か!?
百瀬アリサ
百瀬アリサ
もちろんだよオロチ。
私、今まで友達と一緒に
映画に行った事ないから
オロチと一緒に行きたい!












































































































アリサはオロチからの誘いを笑顔で受け入れた。















































































































百瀬アリサ
百瀬アリサ
言ってくれて良かった。
さっきも言ったように、何で
映画に誘うだけで勇気が
必要なのかわからないけど…
オロチ
オロチ
…断られるかと思ったからな
百瀬アリサ
百瀬アリサ
何で? 断るわけないじゃん。
せっかくオロチが映画に
誘ってくれたんだから
オロチ
オロチ
そ、そうか…。
《天然な一面もあるのだな。
…そんなアリサも俺は…》
百瀬アリサ
百瀬アリサ
おかげで楽しみが出来たよ
オロチ
オロチ
それは良かった。だが、
お前に謝らなければ
ならない事がある
百瀬アリサ
百瀬アリサ
…? なあに?
オロチ
オロチ
…不甲斐ない話だが、
肝心の作品はまだ
何を選ぶべきなのか
決めていないんだ
百瀬アリサ
百瀬アリサ
そうなの?
オロチ
オロチ
お前の好みを知らないからな
百瀬アリサ
百瀬アリサ
確か、アクション系とか
コメディ系とか、他にも
色々あるんだよね
オロチ
オロチ
あぁ、行くからには
お前の好きなジャンルを
選びたいと思ってな
百瀬アリサ
百瀬アリサ
…ごめんねオロチ。
それ、実は私にもよく
わかってないの…。
さっきも言ったように、
私は生まれてから1度も
映画に行った事がないから…
オロチ
オロチ
そ、そうか…
百瀬アリサ
百瀬アリサ
オロチは何が好きなの?
せっかくだから私、
オロチの好みも知りたいな?
オロチ
オロチ
す、すまん…実は俺も
よくわかっていない…




























































































































































百瀬アリサ
百瀬アリサ
なら、一緒に選ぼうよ
オロチ
オロチ
…! いいのか?!
百瀬アリサ
百瀬アリサ
うん、それでお互いに
気になったジャンルの
作品を選んで見に行くの。
楽しそうじゃない?
オロチ
オロチ
アリサがそれでいいなら…
百瀬アリサ
百瀬アリサ
ふふっ、決まりだね?






















































































そう言ってアリサはオロチの手を握る。










































































































































オロチ
オロチ
…///
百瀬アリサ
百瀬アリサ
本当に楽しみだよ。
まさか私が友達と一緒に
映画に行ける日が来るなんて
オロチ
オロチ
ああ、俺も楽しみだ…///
《…アリサはデートだとは
思っていないようだな…。
だが、今はそれでも構わない。
アリサと同じ時間を共有する。
それが何よりも幸せな事だからな》












































































































































アリサの手を握り返し、念願だった

映画デートも決まってオロチの心は

幸福に満たされたのだった。

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