今日も起きて、
ルーティーンをこなして、
私は仕事に向かう。
どうやら、雑誌撮影が早まったみたい。
手鏡に笑顔を見せて、置いた帽子をかぶり直す。
今日も笑顔で、1日頑張らなきゃ!
今回の取材で聞かれることは、ちゃんと頭に入っている。
さて…………………
この人は一体、私の何を知りたいんだか。
趣味だ長所だ短所だ、まるでプロフィールのような質問。
そんな取材なら受ける必要ない、と思っていたけれど。
その雑誌はとても有名な大手企業の雑誌で、
知名度を稼ぐためには「受ける」以外の選択肢はなかった。
それに、今回のテーマが「人生」だから。
自分の意志で入ったわけではなかったから、
というのも理由の一つ。
もう一つの理由は______
インパクトだ。
「平均よりも高い・低い」だけでも、
人の目は簡単に集められる。
その注目以上の実力を見せつければ、
ある程度の地位は得られる。
売れるための第一歩。
そんなの、簡単だ。
それは事実。
でも、私は嘘を重ねて生きている。
こんな取材で、本音を見せると思った?
これも、ちゃーんと嘘。
ここに来たのにだって、ちゃんと理由がある。
でも、それを話すのはまた今度ね。
にこりと笑みを浮かべて、私はその場を去る。
このあとは、記事とともに掲載される写真の撮影だ。
まったく、今回も手がかりは何もなし…………………か。
あんなにやりづらい相手は初めてだ。
いつか絶対に、あいつの仮面を剥いでやる。
“彼”のためにも_______________












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。