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第2話

第2話「幽霊の弱点は塩だが、侍の弱点はタダ飯である」】
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2026/01/19 15:34 更新
「……悪いな。お嬢ちゃん、うちは休業中だ。ちょうど今、持病の『幽霊見ると足がガクガク震えてジャンプが読めなくなる病』が再発したんだわ」
​銀時は震える手でジャンプを顔に押し当て、現実逃避を決め込んだ。
「新八ィ、塩まけ。できれば伯方の塩な。あとお嬢ちゃん、その背後の『デカいおたまじゃくし』も一緒に連れて帰ってくれ」
​「おたまじゃくしではありません! 私の半分です! というか、侍ともあろう方が幽霊如きに情けない……!」
妖夢はムッとして頬を膨らませたが、すぐに困り果てたように眉を下げた。
「……ですが、背に腹は代えられません。もし引き受けてくださるのなら、報酬としてこちらを差し上げようと思っていたのですが」
​そう言って、妖夢が懐から——どこに隠していたのか——ずっしりと重そうな漆塗りの重箱と、見たこともない透き通った青い瓶を取り出した。
​「これは我が白玉楼に秘蔵されていた、冥界の銘酒。そして、幽々子様のおやつ用に私が作った『特製・桜餅風・冥界おはぎ』です」
​重箱の蓋が少しずれた瞬間、銀時と神楽の鼻がピクンと動いた。
そこから漂ってきたのは、この世のものとは思えないほど甘美で、どこか魂を揺さぶるような芳醇な香りと、暴力的なまでの糖分の気配。
​「……ほう」
銀時がジャンプをスッと下ろした。
「お嬢ちゃん。今なんて言った? 『冥界』? ヘイガイ? 英語でヘイガイ(Hey Guy!)ってことか? 陽気な挨拶だな、嫌いじゃないぜ」
​「言ってません! 冥界です!」
​「銀ちゃん、このおはぎ、一個食べただけで天国に行けそうな匂いがするアル……!」
神楽が涎を垂らしながら、まるで獲物を狙う夜兎の目で重箱を凝視する。
​「……あー、なんだ。新八。お前さっき『困ってる人は助けなきゃ』とか言ってたよな? 侍が弱きを助けなくてどうすんだって。俺は最初からそう思ってたんだよ」
「一言も言ってませんよ! アンタが一番拒絶してたでしょうが!」
​銀時は素早く立ち上がると、妖夢の手から重箱をひったくるように受け取った。
「いやー、ちょうどね、仕事を探してたところなんだわ。幽々子様? その食い逃げ……じゃなかった、お転婆なお姫様を探せばいいんだな? 任せろよ、この江戸で銀さんの鼻を逃れられるスイーツ好きはいねーから」
​「あ、ありがとうございます……! 意外と話がわかる方で助かりました!」
パッと表情を明るくする妖夢。その純粋すぎる笑顔に、新八だけが「あ、この人絶対これからも搾取される」と確信して遠い目をした。
​「よし、野郎共出陣だ! ターゲットはピンク色のふわふわした大食い女だ! 神楽、お前は匂いで追え! 新八、お前は眼鏡で追え!」
「眼鏡で追うって何!? あと妖夢さん、その『半霊』、移動中に目立ちすぎるから、せめて風呂敷か何かに包めませんか!?」
​「えっ!? これを包むのですか!? む、無理ですよ、物体はすり抜けますし……あ、でも気合を入れれば硬くなるので……!」
​こうして、真面目すぎる半人半霊と、食欲に魂を売った万事屋一行による、前途多難な「亡霊姫捜索大作戦」が幕を開けた。

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