第10話

episode 9
135
2022/04/28 12:02
桃side
あのあと莉狗は、真っ先に流斗の部屋へ行った。
青柳 心鈴
り、りりり莉狗くん行っちゃったけど!?
東 橙流
追いかけるで!!!
紫山 七森
早く行くよ!!
桃山 怜深
おう!


急いで莉狗を追いかけたものの、流斗の部屋に
ついたころには既に話しかけていた。


困惑したような表情を見せる流斗と、諦めたような笑みを浮かべた莉狗。


俺らが部屋に入りさらに困惑する流斗は、莉狗の顔をじっと見つめて言った。
黄瀬 流斗
ぇ、あの……
莉狗さん…でしたよね……
紅音 莉狗
…うん、そう

名前を呼ばれても表情を崩さない莉狗を見れば1発でわかる。


コイツは、もう一度やり直そうとしていた。
黄瀬 流斗
みなさんが……
さっき、言ってた…僕と仲良し"だった"
方々ですか……?

いつもの敬語が震え、弱々しく聞こえた。

今まで聞いた言葉よりずっとずっと丁寧に聞こえた。


あの頃の、流斗はどこへ……
紫山 七森
……莉狗くん
紅音 莉狗
…ん……?
どしたの、なーくん…(ニコッ

そう、返事をしたものの、明らかに元気はなかった。


本当に、諦めていた。
紫山 七森
何を話したの?
紅音 莉狗
……俺は君の友達の莉狗。
君には他にも4人、仲良い人がいたんだ
紅音 莉狗
おもいださなくていいよ。
おもい、だせる…から……、って
桃山 怜深
っは……


何が、思い出せるだよ
もう、忘れちまったじゃねーか

失った記憶?取り戻せる?どうやって。



お前なんか、お前なんかに……
黄瀬 流斗
ッごめんなさいっ……!
僕が、僕が忘れちゃうから……っ
何かは分からないけど、分からないから…
僕の、せいで……ッ


涙を流しそうな流斗を見て、ハッとした。


何を考えているんだ、俺は。



その瞬間、莉狗の考えることがわかった気がした。
桃山 怜深
…俺は怜深だ。よろしくな
黄瀬 流斗
へ……、あ、る…流斗、です……


……あぁ。





























彼は一体、何をしたというのだろう。







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