《11年前…》
お父さんが死に追い詰めたのは、あの社長なんだと。お母さんは、何度も訴えた。
でも、誰にも聞く耳を貸してくれなかった。
残されたのは…悲しみと…借金…。
お母さんは、ずっと働き続けた。ずっと…ずっと……1日中…。
家に…あの人がやってきた。
スーツ姿で…お母さんに何かを話しかけていた。
お母さんの手は震えていた。
なんでお母さんを泣かせるの?
おじさんが帰ったあと…お母さんは、叫んだ。物を投げた。
びっくりした。こんなお母さん初めて見た。
お母さんは、もうボロボロだった。
しばらくまた時を経ったある日、お母さんは言った。
私を座らせ…お母さんはナイフを取り出した。
ナイフがだんだん近づいてくる。私を殺すつもり…?
嫌だ…怖い……やめて!!
振り払って…落ちたナイフを持って窓から逃げた。
お母さん…なんで死のうとするの?なんでお母さんは死にたがるの?
あの日から、おかしいよ。壊れたよ。もしかして…あの人のせい?
私は、ただただ走った。
その時の季節は、冬だった。雪が降っていた。
地面には少しだけ積もっていた。
裸足で飛び出してきたから、足が赤くなっていた。
走った先には…イルミネーションで輝く木が並んでいた。
周りを見回すと…たまたま目の前のお店から…
あのおじさんが出てきた。他の2人のおじさんもいて…。
おじさんは、笑っていた。私達は…おじさんのせいで苦しんでいるのに…。
許せない…。なんでおじさんが幸せそうなの?
もしかしたら…おじさんを殺せば…お母さんは元気になるかもしれない。
お母さんがおかしくなったのはおじさんのせいなんだ。
手にあったナイフで…おじさんの所へ向かった。
(刺す音)
おじさんは、驚いた目で…私を見ながら倒れて言った。
白色が…赤色に変わって行った。
私の手には、血がついていた。
怖くて私は、逃げた。家へ戻った。
お母さん…!!怖かったけど…おじさん殺したよ!
お母さん!元気になった??
急いで…家の窓から中に入ると…
待っていたのは…自殺して死んでいるお母さんだった。
キッチンにあった包丁で、お腹を刺していた。
私は何度もお母さんの体を揺らした。
復讐しても…殺しても…何も良くならなかった。
その後…泣きながら警察署に行って…自首した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
《現在》
全てを…ずっと心の中にあったものを話したら…なんか背中が軽くなったような気がした。
私は、頭を下げた。ずっと…頭を下げた。
どんな罰を受ける覚悟をしています。
叩かられるのかな?蹴られるのかな?
学校のみんなにばらすのかな?
ちょっとだけ…覚悟しているのに…怖かった。
恐る恐る…顔を上げた。
見えたのは…大泣きしている葵と翔と…
泣きそうな八神がいた。
泣きそうにもしていたけど…目はまだ怒っているように見えた。
叩かれそうだ。と思い、目を閉じていたが…
別に、何もしてこなかった。
恐る恐る目を開いて…八神に見る。
そう言った途端…八神は泣き出した。
八神は、泣きながらこう言った。
そう言われて…改めて自分の手を見た。
手も、足も物凄く震えていた。
え?どうして?私の事が憎いんでしょ?
なんで??叩いてよ。蹴ってよ。
情けなんか要らないからー。
そう優しく言われて…予想と違って……
私は、泣いてしまった。
もっと大泣きしそうになった時、葵がやってきて優しく抱きしめてくれた。
…物凄く暖かった。
そう言いながら、葵は泣いていた。
葵が謝る必要なんて…どこにもないのに。
優しすぎるよ…君たちは。
翔は、泣きながら…
と言いながら…涙を必死に拭っていた。
八神と目が合った。八神は、笑っていた。
教室には、泣き声では響いていたー。
告白して…良かったのかもしれない。
やっぱり…死ぬのはやめとこうかな。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
《朝の学校》
告白して…わんわんと泣いたのはいいけど…
その後どうするんだ…私…。
教室のドアにずっと立っていて未だに入られない。
なんであの時…泣いたあと、解散してしまったんだ…。気まずい…。
本当に…私を受け入れているのかな?
ドアを開けて…改めて顔を見るのが怖かった。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!