《八神side》
明らかに…僕らを避けている…。
やっぱり…吉田 ちこが11年前の事件の犯人だ。
名字が違うのは…両親が離婚したからなのか…?
……いや、違うな。佐藤の父親は、事故で亡くなった。
事故でなくなってしまったのは僕の親父のせいだと…佐藤 ちこの母が訴えたの記憶に残っている。
その時…あいつの名字は、まだ佐藤だった…。
母も病気などで亡くなって他の人の元で住むようになったから… 名字が変わったのか?
……そうかもしれない。
考え込む僕の前の机に葵が座り、ため息をついた。
2人は悲しそうにするが…僕はどーでもいい。
どんな理由があろうとも…僕の親父を殺した犯人であることは変わらないー。
…違う!!
強く机を叩いたからみんなこっちを見る。
違う…大好きなんかじゃない!!
僕は…親父が大嫌いだった。
好きなんて…死んでもなれない。
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《10年前》
毎日…殴られ…蹴られた。家は毎日のように荒れた。
お父さんは、毎日暴力をふるった。
そして、悪い手を使って色んな人から金を奪っていた。
多分…吉田 ちこのお父さんもその中の一人だったんだろう。
母は、なんも言わなかった。親父の言いなりだ。まるで…犬だ。
絶対に…家出してやる…。
この家は……地獄だ。
でも、たまに優しくしてくれる時もあった。機嫌がいい時だ。
たった少しだけだ…。でも、嬉しかった。
その時の優しい親父は、好きだった。
でも、次の日になったら殴られる。タバコをつけられる。たくさんあざを作られる。
少しでも、いい親父だって思った僕が馬鹿だった。
誰にも信じられない。大嫌いだ…!!
半年後…1人の女の人が家にやってきて…お父さんに対して怒鳴っていた。
その人の背中には…死んだ目をした女の子が立っていた。
同じ歳の女の子だろうー。
警察がやってきて…取り押されてもその人は叫んでいた。
なんで…僕のお父さんに対して…『死ね。』って言うの?
僕には分からない。でも、ちょっとだけ腹たった。
《僕の親父を悪く言うなー。》
またその半年後…親父は、子供に殺されて亡くなった。
驚いた。僕と同じ歳の子が親父を殺したなんて…。
確かに酷い親父だけど…世界中でたった1人の僕の親父なんだ。
いつか僕が親父を殺していたのかもしれない。
でも……嫌だった。
なんで……なんで……知らない人にうちの親父が殺されるんだ?知らない人が手を出すな!
許さない…許さない!!
絶対に見つけ出して…復讐する。
その後…親父が殺されたにも関わらず…親父がやった酷いことについて…テレビ局などがやって来て…
僕の人生は、めちゃくちゃになった。
あいつが…親父を殺さないで済んだらこんな事にはならなかったのに…。
佐藤 ちこ。お前のせいだー。
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《現在》
だから、吉田が1人なって…だんだん顔色も悪くなっていったのを見て…
正直僕は、清々した。
ざまぁみろ。自分のせいだよ。って…。
学校全体にバラそうとも思った。もっと苦しませてやるって…あの時の僕みたいに…。
でも、心のどこかが痛かった。
吉田は、時が経つほどに…ちょっとずつ痩せて…
顔色も良くなくて…いつ死んでもおかしくなさそうな感じだった。
見るたびに…僕のせいかもしれない。と思い込むようになった。
ある日、2人は僕に言った。
どうする?……助ける?もう過去のことは水に流す?
……いや……。
ちゃんと話し合わないと…気が済まない。
なんも解決しない。
だから、僕は放課後…吉田の元へ行った。
全てを話してくれ。って…
もう告白しろよ。って……
もう隠さないで…話し合って終わろう?って思ってさ…。
でも、吉田は話してくれなかった。しかももっと離れようとする。
そうか。それがお前の《答え》か……?
その以上言ってもダメみたいだったから僕は諦めて…吉田から離れた。
そのことも全て…2人も話した。2人はなんも言わなかったし、何もしなかった。
いや、どうすればいいのか分からなかったんだ。僕も……2人も……。
そうして、文化祭がやって来た。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。