………なんか…違う。
今日…ずっと見てきて…違和感を感じた。
なんかが違う……。
昨日…私がいない間…なんか分かった?
葵は、いつもよりも話すし…
翔は、チラチラと私を見る……
八神は、苦笑いばかりだった。
まぁ、いずれはバレるもんね。
その時が来たのかな?
私は、ただ…ただ……なんも言わずに微笑んでいた。
《友達なんて…いつかは消える。》
最初から…関わらなかったら、こんな気持ちにはならなかったのかな?
寂しかった。…苦しかった。
葵の話しかけに…私は言った。
微笑みながら……
その瞬間…みんなの顔が暗くなった。
八神は、私を睨んでいるように見えた。
葵は、ただ笑うだけでなんも言わなかった。
翔は、目をそらしていた。
八神は、私を見なかった。
そう言い、笑顔でこの場から去った。
背中に痛い視線を感じた。
もう終わりましょう。
もう…3人には近づかないと…今更決めました。
遅いよね……。
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その後も、その次の日も…その次の次の日も…
3人とは話さなかった。
向こうから話しかけてきても…
完全に3人を避けた。
そのうち、向こうからも話しかけてこなくなった。
時々、八神とすれ違うたびに睨まれた。
《うん、覚悟してます。》
そんな中…文化祭が近づいてきた。
周りには、楽しそうな声が弾む。
うちのクラスには、お化け屋敷をすることになった。
2週間後は文化祭。
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『これも…お願いしていいな?』
クラスの中の一人から、お化け屋敷をするのに道具を作ってくれ。と頼まれた。
私は、笑顔で承知した。
あの日から、私は一人ぼっちになった。
時が経つほどに…心がボロボロになって行った。
寝る度に…過去が出てくるようになって眠られない。
目の下にはくまがいつものように出来ている。
3人は、11年前の事件の犯人が私だってバレているの…だと思う。
行動から見てだいだい予想がつく。
今日も、遅くまで残って…道具作りか…。
他のみんなは帰った。いや、その方が助かる。1人の方が…集中出来るから。
だんだん夕日も見えなくなり…周りが暗くなったので電気をつけた。
死神が使う鎌の出来上がり。
あとは、血のりで塗れば…
血のりを手にかけた時…
あの時…おじさんを殺した時の手に似ていて…
あぁ、人殺しだなぁ、私。ってふと思った。
と、言う声が聞こえてハッとし振り返ると、八神がドアの所に立っていた。
冷たい目で私を見つめていた。
私は、なんも言わずに血のりを鎌に塗った。
あぁ、声に出していたのか……。
もう…それで分かったんでしょ?
足音が聞こえ…顔を上げると目の前に八神がしゃがんでいた。
そう言うと、八神は深くため息をついた。
ってボソッと、呟いたのが聞こえた。
私は、気にせず…作業を続けた。
そう言われても…私は反応しなかった。
私は、逃げている。
怖くて…もう嫌で……向かい会おうともしない。
ダメだなぁ…自分だって分かっている。
私は、作業する手を止め…八神を見つめた。
話して…どうするの?復讐する?
みんなにバラして私を追い出す?
正直どうすればいいのか分からなかった。
どうすれば…正解なのか?私は、いつも正解な答えを探して答える。
でも、今回は…正解の答えが分からなかった。
そう言うと、呆れた八神は、立ち上がって…
だけを言い…教室から出て行った。
教室には、私だけ残された。
全てを話して…ちゃんと復讐…罰を受けて…
どうする??
もう…疲れた。
そろそろ眠りにつこうかな…。
うん、文化祭の…後夜祭の時に…3人に全てを話して…この物語の終わりをつけようー。
この2週間もあっという間、経っていき…
文化祭がやって来た。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。