びっくりした。いつもは強がりで、弱い姿を見せないあなたが泣いていた。
真夜中なので俺たちの声だけが響く。
その、口の小さな隙間から吐き出された言葉は、あまりにも辛くて、苦しくて。
傷口から血が出るように溢れ出す言葉は、紛れもなくあなたが傷ついていることを表していた。
少し寂しそうに立ち上がったあなたは、俺に背を向けてドアに手をかけた。
後ろから抱きしめるような形であなたを止める。
俺は、あなたの手を握ってベットに潜り込んだ。
あなたは、愛おしそうに俺の目を見つめる。
そう言ったあなたの顔はいつもの"レイ"だった。
俺の初めてのプロポーズは、切なく、でも、忘れられないものとなった。
どちらから近づく訳でもなく、俺達はキスをした。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。