第6話

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2023/03/20 09:42
悟飯
確か今日の講義は2号館の306号教室でしたよね?送って行きますよ
高麗あなた
あ、ああ…ありがとうございます…。
何故教えてもいないのにそんなことを知っているのかとツッコミを入れたくなってしまうが、これも最早いつものことであり、今更そこについて言及したところで手遅れなのである。



かつてそこについても聞いた時。彼は当たり前のことを言うかのような顔をしてこう答えた。







_______あなたさんのことを全部把握しているのは当たり前でしょう?







_______あなたさんのことは全部僕がやるんですから。なんならあなたの明日の予定も明後日の予定も、全部“ここ”に入ってますよ♪







そう言いながら自分の頭を指さした彼の姿もまた狂気的であった。聞けば彼、私のあらゆる予定と言う予定を自分の脳内で全把握しているだけでなく、携帯のスケジュールアプリに登録する上に、万が一のことがあった時のためにスケジュール帳を買ってそこにも書き込んでいるらしい。



自分の予定を書いているスケジュール帳と、私のことだけ書いてあるスケジュール帳を使い分けているんだとか。友達にしか言っていないはずの予定もそこに全部書いてあるのを見たことがあり、鳥肌が立った。
悟飯
確か終わるのは10時半、その後は午後まで講義がないんですよね?また僕と一緒にお昼ご飯にしましょうか
高麗あなた
は、はあ…。あの、あなたのスケジュールは大丈夫なんですか?滅茶苦茶私に合わせて動いてますけど…。
悟飯
あなたさんは優しいですねぇ…フフフフ
そう言って小さく笑っている悟飯さんにまたも鳥肌が立ってしまった。少しだけ眉を下げて、私でも分かるくらいトロンとした目でこちらを見つめる悟飯さんは狂気の塊だった。
悟飯
そこの心配は必要ありませんよ。なにせあなたの普段の行動と完全にリンクしたスケジューリングをしているんですからね。あなたが講義の時は僕も講義に出ていますし、あなたが休みの時は僕も休みなんですよ
寒気を感じる他なかった。なんて男なんだ、この人は。初めて会った時そんな狂気なんて微塵も感じさせなかったと言うのに、今やこれだ。



毎日会っては彼の恐ろしい一面を垣間見てきたが、こんなことは今日初めて知った。なにかと私合わせで動いていたけど、そう言うことだったのか。



蛙の子は蛙とは言うが、こんなところまで親子揃って似ているとかおかしいよ…。と言うかあの人達って元々こんなヤバい人達だったのか…?



よく分からなかったが、兎に角講義に行かなければいけなかったので一旦そこについては置いておこうかな。
高麗あなた
そしたら講義あるんで。では
悟飯
はい、また後ほど。お迎えに行きますから、そこで待っててくださいね
高麗あなた
………分かりました

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