外に出ると、何台かのパトカーがとまっているのがわかった。
騒ぎを聞きつけて集まってきた一般人。
警察と話しているヒーロー。
そして、逮捕されていくヴィラン。
警察やヒーローたちと一緒に来ていたのだろう。
緑谷が俺を呼びながら、こちらに駆け寄ってきた。
俺が無事だということがわかると、緑谷は安心したように息をついた。
...緑谷には本当に、迷惑かけてばっかりだな。
いや、緑谷だけじゃない。
爆豪にも、迷惑をかけた。
俺がもっと早く、自分の気持ちを整理すべきだったのに。
2人にはもちろん、元A組のみんなにもいろいろと世話を焼いてもらったのだ。
それだけじゃない、家族にだって。
みんなも同じぐらいつらかったはずなのに、俺は...。
名前を呼ばれ、顔をあげる。
緑谷はこちらを見つめ、真剣な表情をしていた。
"私が好きでやったことなんだからさ"
ふと、姉が言っていたことを思い出す。
ああそうだ。
お前は、そういうやつだったよな。
緑谷は、そんな俺を見て柔らかく笑ってくれる。
かと思ったら、スッ、と真剣な表情になった。
話を聞く覚悟はできている。
もう、逃げないから。
あいつのためにも、話を聞かなければならない。
緑谷から聞かされた話はこうだ。
あの男の個性は『悪夢』。
といっても、ただの悪夢じゃない。
その人にとっての物凄く幸せな夢、悪夢を見させ、自力で夢から覚めないようにコントロールするのだそうだ。
けれど俺は、なぜか出てくることができた。
きっと姉が、あなたが助けてくれたんだな。
正確に覚えているわけではない。
だけど、あの男は言っていた。
過去に俺に助けられたと。
半年前の、あの事件で。
その言葉を聞いた瞬間、俺の中でなにかが切れた音がした。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。