嫌だ。好きなのに。
……って、よくわからない感情になるのは、いつでも戦える仲間がいるから。
そう、"戦える"
仲間。
メンバーが楽しそうに会話をしてるのに、1人浮かない顔をしてる僕。
新曲が出来たからそれの振り入れ。
嫌だな………。
みんなといるのはこの上なく好きなのに。
どうせ、新曲を世に発信すれば言われるんだ。
「別にダンスも歌も、上手くない。」
「この人のセンターである意味何?」
…ってね。
そんなのわかってるよ。
今日も、レッスンが終わって、みんなで家に帰る。
このときは、疲れていたのか、特に反応せずただみんなの話を聞いてるだけだった。
家について、することもなく、みんな自由に過ごしていた。
さっきは何も考えていなかったのに、
今は新曲のことしか頭になかった。
みんなの反応なんか、「ダンスが下手」とか、「歌声好きじゃない」とか。
そんなの分かってる。
分かってるんだよ。
幸輝が見せてくれたのは、ダンスの動画。
僕が、幸輝と?冗談じゃない。
そんなの、比べられるに決まってる。
時間が経つのが怖い。
なんにもやっていなくても、時間だけは必ず過ぎていって、
やがてなにもしなくても新曲の配信が始まる。
気づけば一人で泣いてた。
泣いたらもっと怖くなって、
ダンスと歌しか頭に出てこなくなって、
今はそれが怖いのに、それに支配された感覚になった。
自分の呼吸がおかしくなってるって気づいたのは、
\ガチャ/
琉弥が部屋に来てから。
過呼吸の余韻でまだ息が上がってて上手く話せないけど、今は琉弥の優しさに甘えたかった。
琉弥の優しさが身にしみて、涙が堪えきれなくなる。
勘弁してよね。
まだ目に涙が溜まってて、はっきりとは見えない琉弥の顔。
それでも琉弥の笑顔を見ながら、僕も笑顔で返す。
8LOOMにいて良かった。
好き。大好きだよ。
みことさんからのリクエストです!
リクエストありがとうございました!!✨
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!