俺の中には今、心宿がいる彼奴は躊躇したけれど
俺が無理矢理につかんで離さなかったんだ。
(だってそうじゃん死んだら終わりだなんて、そんなことはさせない、あいつ北山にとってはまだ終わってないんだから今までは俺がお前に付き合ったけど
これからは俺に付き合って貰うから覚悟しとけ心宿)
そして、トッツーの話を聞きジッとしていられなくなった俺はある所へ単独で乗り込む。
正直、今までは避けていた。俺の顔なんか見たくはないんじゃないかと思ったし「けど逃げてちゃいけないんだ、ちゃんと向き合わなくちゃ、あの仔だって」そう決心をし、そこへと向かう。
「確か滝沢くんの家から近いって聞いたから、この辺だと思うんだけど」ウロウロしていると。
そんな声が耳に飛び込んで来て、ふと目を向けたら「いた、あの仔だ」俺は迷わず近づいて。
彼女は、驚いた顔をし俺のことを見つめた。
すると一瞬、言葉を詰まらせてから。
そうOKしてくれ。
俺達は近くの公園のベンチに座って話すことにし。
俺が聞くと、彼女は声を絞り出すように。
そう、あのとき塚ちゃんはそれ聞き凄く感謝して
いたんだ。
北山のこと滝沢くんの妹のこと罪悪感で一杯だった
そう言うと彼女は…
(なぁ~トッツーお前フラれてなんかいないじゃん、その逆さ、この仔は本当は嬉しかったんだ、お前の気持ちが)
叶うなら角宿とは交わることが出来なかった想い、やり直したいと思っている。けど北山と彼女の今の状況を考えると自分だけ、お前の気持ちを受け入れることが出来なかった。
(バリバリ両想いじゃん頑張れよ)
そう思いながらも俺は、房宿のことを考えていた「俺も、いつかは会えるのかな」春がもうすぐ近づきつつある晴れた日の空を見上げ。
・あなたside
春、桜が咲く季節。それは新しい物語のスタートのとき「ヒロ、みんな見てる?私、大学合格したよ」
変わらない友達…
変わらない友情。
そこにヒロはいなくても、ときは静かに流れてく。
私達は、あの経験を通し少しだけ大人になった気がする。
と、そのとき私は唯の耳に付いてるピアスに気づく
(心宿のだよね?)
(唯ちゃん…)
もう四神天地書が開かれることはないけれど、私は私達は信じている、あの世界は確かに存在していて今も…そしてこれからも永遠に続いていくんだって私達の心の中にも。
「って、えぇーっ友達との約束が」が、私と唯ちゃんは強制的に拉致られてしまい。
そして、とつぜん車の中で今まで触れようとしなかった話をし始めたの。
(炎の中で…)
あのときヒロと最期の口づけを交わし抱きしめ合ったとき私は身も心も結ばれたような気がした。
そう言って、お兄ちゃんが視線を向けた先には。
(嘘っ、ヒロ!?)
その隣には、トッツーもいて。
(ありがと、お兄ちゃん)
それは、お兄ちゃんから私への入学祝いだったことを後になって知る。
「ここから一歩、前へ踏み出せばいい、また物語りを始めればいいんだと」このときの私はそう思っていた。
春の陽射しの中で…
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。