七月七日
今日で終わり
こんなに憂鬱な七夕があっただろうか
待ち合わせは16時
約束通り竜胆と浴衣を着て行く
『ん、着れた』
「かーわい、俺も着替えてくる」
そう言って数分後…
「わり、帯できねぇからやってくんね?」
そう言って浴衣を羽織っただけのパンイチで出てきた。
『ばっっか!!なんてカッコで出てきてんだ!!』
「なに赤くなってんの?すけべ」
なんかムカつく。
『お前のせいだろ!!わかった、やるから向こう向け!!』
けらけらと笑うお前の浴衣の帯を結んで
『ん、できた。』
「さんきゅー」
『…似合ってる』
そう呟くと
「さんきゅ」
なんて言ってオレの頬にキスをしてくる
『はぁ!?!?!』
そんな竜胆はなにもなかったかのような顔をしている
……そうだよな
着替えだけで1時間。長すぎだろ。
あっという間に17時
「ほら行くぞ!!」
そう言ってオレの手を引く
オレはこの時間が、お前と過ごす時間が、楽しくて仕方ない
「なんか食いたいのある?」
『……かき氷』
この前、一緒に海に行った時も食べた
あん時のかき氷がすごく美味しくて
どうせ最後ならまた一緒に食べたいと思った
「またいちご?」
前もいちごだったよな
『おう、竜胆は?』
「俺全部かける」
『なぁ、かき氷って味全部一緒らしいぜ』
「俺もそれ考えてた。ほんとかな?」
『メロンは違う気がする』
「だよな、ブルーハワイは夏の味だし」
『夏の味……??』
「んだよ、夏の味だろ?」
いいからひと口くれ
「ほらアーン」
『ん、ちべた』
「頭大丈夫か?味は?」
バカにされてる?なんて言うと
それもある、と笑う
ふざけんな
『全部一緒な気がする』
「まじ?」
『まじ』
くじ引きとかして
「あれ1回で当てたら明日も恋人でいてやるよ」
『言ったな!?ずーっと一緒だからな!?』
「言ってねぇよ!明日までな」
1回目
ハズレ
「残念」
竜胆楽しそう
『もっかい!!!』
「はいはい、」
2回目
ハズレ
「ふっ…笑」
『もっかい!!!』
「お前は何人いるんだよ」
3回目
アタリ
『っしゃ!』
「おー、よかったな」
これで明日も一緒?
『なぁ、明日も一緒か?』
「あ、たこ焼き」
そう言ってたこ焼きを買いに行ったお前
「ほら、」
『あくい』
「あっふ…けどうま」
『ほはへほほ』
「何言ってるかわかんねー」
なんてオレの頭に手を置く
『こたえろよ』
「わかんねぇ、俺にも」
このまま時間が止まればいいのに
そう思いながら竜胆と歩いていると花火の音
「あ、花火」
『びっくりした』
やっぱ音大きいな
「きれーだな」
『キレーだな 』
「春ちゃんも綺麗だよ」
なんて耳元で囁く
『はぁ!?』
誰だって照れるだろ
『なぁりんどー、明日も一緒?』
肩にもたれかかり聞く。
しつこいけど不安で仕方ねぇ
『竜胆はオレと一緒はいや?』
「オレの性格的にずっと大事にすんのは無理」
『いいよそれでも』
だから
『竜胆が飽きるまでそばにいさせてよ』
そう言って人目も気にせずオレを抱き寄せる
「傷つけたくねーの」
もう十分傷ついてんだわ
「だったら早い方がいいだろ?」
それでもオレは竜胆の隣にいるよ
竜胆が飽きるまで。お前の気分が変わるまで











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。