jk「……こっちです」
川から上がって、
軽く体を拭いてから、
俺は先輩を家に案内していた。
並んで歩く距離が、
やけに近い。
…実家に先輩連れてくるとか、
普通に考えて、やばい。
でも、なぜか嫌じゃない。
むしろ、
……ちょっと見てほしい。
そんな気持ちすらある。
家の前に着く。
大きな門。
見慣れてるはずなのに、
今日は少しだけ違って見えた。
そのとき、
隣から声が落ちる。
v「……なぁ」
jk「はい?」
v「お前の母ちゃん父ちゃん」
少しだけ間を置いて、
v「恋人って紹介してもいい人たち?」
jk「……え」
一瞬、止まる。
……ああ、そうか。
考えてなかったわけじゃない。
でも、いざ言われると、
少しだけ戸惑う。
jk「…俺に対して、
あんまり興味ないんで」
正直に言う。
jk「大丈夫だと思います。
ダメなら……
出ていけくらい言われます」
すると、先輩が
少し眉を上げる。
v「出ていけって
言われたらどうすんの」
jk「出ていきます」
即答。
jk「清々しますし」
少しだけ笑うと、
先輩も小さく笑った。
v「……強いな」
jk「そうでもないです」
軽く言ってから、
扉を開ける。
中に入ると、
「おかえりなさいませ」
お手伝いさんが
すぐに出迎えてくれる。
jk「ただいま帰りました。」
靴を脱ぎながら聞く。
jk「母さんと父さんは?」
「リビングにいらっしゃいます」
jk「……ありがとうございます。」
先輩に目配せして、
jk「行きましょう」
廊下を歩く。
少しだけ緊張する。
…どうなるんだろ。
リビングの扉を開ける。
そこには、
いつも通りの両親。
ソファに座って、
くつろいでる。
俺は一瞬だけ深呼吸して、
jk「……父さん、母さん」
2人がこっちを見る。
jk「恋人、つれてきた」
その瞬間。
2人の動きが止まる。
かと思えば、
ぐるん、と
同時に首が
こっちを向いた。
母「…そのイケメン
どこから連れてきたの?!!」
jk「え、」
予想外の反応。
一瞬で空気が変わる。
父さんが
勢いよく立ち上がって、
父「さ、さ、
こっちで話そうじゃないか!」
って、
先輩の腕を引っ張る。
v「え、ちょ、」
先輩が連れていかれる。
……なにこれ。
完全に置いていかれる俺。
母さんはソファから立ち上がって、
にこにこしながらこっちに来る。
母「ジョングクはね〜、
そんな予感してたのよ〜♪」
jk「……は?」
母「いつか女の人じゃなくて、
男の人連れてくるってね〜♪」
……なんで?
意味がわからない。
というか、
テンションが高すぎる。
少し引きながら聞く。
jk「…俺に興味なかったんじゃないの」
母さんはくすっと笑う。
母「興味がないんじゃないのよ」
優雅にキッチンに
向かいながら、
母「人との距離ってあるでしょ?
人としての距離をとってただけ」
さらっと言う。
母「お父さんと話してたのよ〜。
いつか男の人連れてくるわねって」
……いやなんで?
母「誰を連れてきても歓迎するつもりよ」
コーヒーを淹れながら、
ちらっと俺を見る。
母「にしてもイケメンね。
どこのおぼっちゃま?」
jk「……さあ」
適当に返すしかない。
母さんは楽しそうに笑って、
母「あ、そうだ」
思い出したみたいに言う。
母「夏祭りでも行ってきたら〜?
屋台出るんじゃないかしら?」
jk「……ああ」
それ、いいかもと思う。
jk「そうだね」
頷いた、そのとき。
母さんが、にやっと笑う。
母「で?」
嫌な予感。
母「どっちがどっちに
婿入り予定なの〜?」
jk「……は?!」
一気に顔が熱くなる。
jk「ちょ、やめてよ!」
慌てて止める。
すると、
横から声がした。
v「できれば」
先輩の声。
振り向く。
v「……入ってほしい、と
思ってます」
真剣な顔。
……え。
一瞬、時間が止まる。
母さんと父さんが、
同時に固まる。
そして、
父 / 母「「きゃーーーー!!!」」
完全にテンション爆発。
母「ちょ、ちょっとあなた聞いた?!」
父「聞いたとも!!なんだこの子は!!」
完全に乙女モード。
……終わった…。
先輩は少しだけ照れた顔で、
でもちゃんと俺の方を見る。
目が合う。
……ほんとに言った。
胸がドクン、と鳴る。
嬉しいのか、恥ずかしいのか、
もうわからない。
ただ1つだけ、
はっきりしてること。
…ちゃんと、恋人なんだ。
この人は、
俺のことを、
ちゃんとそう思ってくれてる。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!