第47話

#46 お前のため
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2026/05/15 13:00 更新




次の日。



夏の暑さに耐えきれなくて、

俺は近くの川に来ていた。



靴を脱いで、

浅瀬に足を入れる。



jk「……つめた」



じんわり広がる冷たさに、

少しだけ息が抜ける。



水を手ですくって、

腕にかける。



……気持ちいい。



空は青くて、

蝉がうるさくて、

典型的な、夏の日。



ぼんやりしながら、

水に足を浸していると、



___ブブッ。



スマホが震えた。



jk「……あ」



取り出して画面を見る。

また、テヒョン先輩。

迷わず出る。



jk「もしもし」

v〈……今何してんの〉



いつも通りの声。



jk「川で、ちょっと水浴びしてます」



足で水を

ぱしゃぱしゃしながら答える。



jk「暑いんで……」

v〈いいな、それ〉



少しだけ羨ましそうな声。

なんか、それが嬉しくて、



jk「来ます?」



軽く言ってみる。



jk「ちょうどいいですよ」



すると、



v〈あー……遠慮しとこうかな〉




少し間を置いた返事。



……まあ、そうだよな。

物理的に距離あるし。

釜山と大邱だし。

来れるわけない。



そう思って、小さく笑う。

そのとき。



v〈あ、いた〉

jk「……え?」



一瞬、意味がわからなかった。



jk「誰がいたんですか?」



聞き返すと、



v〈お前が〉

jk「……は?」



反射的に振り返る。

その瞬間。



jk「……ぇ、」



思考が止まる。

視界に入ったのは、

見慣れた顔。

見間違えるはずのない人。



jk「……え、っ、え、っ……?!」



声がうまく出ない。



jk「な、なんで……?!」



そこに立ってたのは、

テヒョン先輩だった。

普通に、当たり前みたいに。



少し汗をかいて、

でも余裕そうな顔で。

にや、っと笑う。



v「前から4番目の、
 右から5番目の席に
 乗って来ました」

jk「……は?」



昨日のやつ。

自販機のやつ。



……え、まさか。



jk「……それって」

v「高速鉄道」



さらっと言う。



jk「……」



言葉が出ない。

理解が追いつかない。



…え、来たの?ほんとに?



先輩は少し肩をすくめて、



v「お前のためだよ」



その一言。

シンプルすぎるのに、

破壊力がやばい。



jk「……え、あ、え……?」



変な声しか出ない。

頭が真っ白。

先輩はそんな俺を見て、

少しだけ笑ってから、

近づいてくる。



v「……会いたいですって」



低い声で、



v「悲しい声で言われたら、
 いくしかねぇだろ」

jk「……っ、」



一気に、

胸が熱くなる。



……そんなの、

ずるいに決まってる。



何も言えなくて、

ただ立ち尽くす。



水の音だけが、

やけに大きく聞こえる。

少しの沈黙のあと、

先輩がふっと笑う。



v「なに、固まってんの」

jk「……だって……」



やっと声が出る。



jk「来ると思わないじゃないですか…」



小さく言うと、

先輩は少しだけ目を細めて、



v「サプライズってやつ」



軽く言った。



……心臓もたない

でも、

嬉しくて仕方ない。

気づいたら、

少しだけ近づいてた。



jk「……先輩」

v「ん?」

jk「…ほんとに来たんですね」



確認みたいに言うと、



v「来たよ」



当たり前みたいに返される。



その距離のまま、

少しだけ笑う。



jk「……バカです」

v「知ってる」



即答。



v「でも」



少しだけ、

声を落として、



v「そのバカ、嫌いじゃないだろ」

jk「……」



図星すぎて、

何も言えない。

代わりに、小さく笑う。



川の水が流れる音と、

蝉の声。



その中で、

やっと実感する。



……ほんとに、会えた。



さっきまで遠かった距離が、

嘘みたいに、ゼロになってた。







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