『荼毘side』
あなたが仕事に行ったのを見送ってすぐ、部屋にワープゲートが現れた。
ああ、ここまでか。
この幸せに終わりが来てしまった。
「ああ。」
そう力無く告げると、「アジトへ帰りましょうか」と何かを察した黒霧が宥めるように言った。
机に書き置きを残して、そのままワープゲートへ入り、このボロいアパートを後にした。
昨日の夜が最後だって分かってたんなら、
もう1回抱いとけばよかった。
思い残すことはたくさんあったし、何よりまだまだここにいたかった。
最後に一目会いたかった。
次会うときは、きっと敵同士なのだから。
離れていても、ずっと愛してる。
書き置きの最後をそう締めくくったが、あなたは泣かずに読めるだろうか。
俺と違って、きっとあなたは強いから大丈夫だろう。
きっと、きっと。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!