「えぇ……日に日に、陽の光の力強さが増し……」
校長の式辞。
今は卒業式の真っ只中。
ひろとは……
話せていない。
この卒業式が終われば、ひろはアメリカへ行く。
どうにかして、話した方がいい……よね?
長い卒業式が終わり、
担任の先生とみんなで涙ぐみながら、写真を撮ったりしている。
ひろは……
まだいた。
男子たちと騒いでる……
って、えっ!?
あれは美咲には劣るけど、うちの学年でも結構可愛い女子……
ひろを呼び出していた。
まさか、告白!?
最近私たちが話してないから別れたって思ってたりして?
でも……私たち、こんな状況でもまだ付き合ってるって言えるのかな。
ひろはもしそう思ってなかったら?
どうしよう……
そんな状況だとは知らず、莉子はひろを大声で呼ぶ。
今呼んでいいの!?
ひろは何かを謝り、こっちへ来た。
私は莉子と美咲に引っ張られ、なんとか6人の写真が撮れた。
莉子は撮ってくれた隣のクラスの坂本さんにお礼を言っている。
ひろはそう呼ばれ、また向こうへ行ってしまった。
そう言って、私たちは美咲が掲げたスマホに向かって笑みを浮かべる。
それから他のクラスの子と話していると、だいぶ時間が経っていた。
えっ……
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。