「いよいよ、だね」
「緊張する」
「ここだよね?楽屋」
「うん、多分」
ガチャ
「ねぇ、ねぇ隣と繋がってるんだね」
「うん」
おい、誰だ?手越と浅倉ってやつ
知らねーって
なんであんなヤツがマイク持つんだよ
だよなー
「お前らの歌が下手だからだろーが」
は?
「ちょっと手越くん!やめなって」
誰だ?あいつ
「手越くん!あの人たちの中に今日一緒に歌う人いるんだよ?気まずくなっちゃうじゃん!」
「そっか、ヤバ」
「もうしょうがないけどさ」
悔しい。ダメだってわかってるのに手越くんの言葉でスッキリしてるわたしがいるのが悔しい。いつでも空気読んで来たのに。
「挨拶して!」
「はい‼︎」
「はやくはやく!こっち来て!手越くん!」
「うん、わかってる」
この人かー、今日一緒に歌う人
「増田貴久です」
増田くんか
「浅倉レイです。よろしくお願いします」
「手越祐也です」
先輩達のヒソヒソと話す声が聞こえた
あいつらか、さっきの
そうだな
もうなにやってんの!手越くん!
わたしまだなんか言われちゃうよ!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。