第22話

連鎖する性⑤横尾side
夜明けが近づくにつれ時々「ん…うぅん~ん」と、なにかにうなされているかのように声を出す北山、俺はそれが気になって仕方なく。

横尾
大丈夫、大丈夫だよ俺もニカも
傍にいる


ぎゅっと、その手を握り声を掛ければ微かに瞼が
動いて再び眠りにつく。その繰り返しでさ、夜中
の3時すぎ。

北山
うーん、うっ…うっ、んあぁ~っ
二階堂
はっ、宏光!?


今までにない大きな声に、さすがのニカも目を覚まして。

横尾
おい、北山


眉間にシワを寄せ辛そうな表情、微かだが意識を
取り戻しつつあるのが分かる。

二階堂
宏光!


そして、うっすらと瞳が開き一点をジッと見つめ。

二階堂
俺だよ分かる?二階堂
横尾
北山


そのあとチラチラと瞳がさ迷い始め周囲を確認するかのように。

北山
あ…俺ん‥ち?
横尾
そう
二階堂
良かったぁ~心配したじゃん
横尾
どこか痛いところとかない?
北山
えっ
二階堂
落ちたんだよ宏光の上に滝沢くん


そう言うとハッとしたかの如く眼を見開き「そっ、それで」とたんに起き上がろうとした瞬間、ぐらっと身体がグラつき。

二階堂
ミツ!
横尾
北山!


慌てて俺と二階堂が支え、しかし燃えるように全身が熱い。

北山
くっ、頭…いっ‥て…はぁはぁ
たっ‥滝沢‥くん
横尾
大丈夫、大丈夫だから、ねっ?
落ち着いて
二階堂
横になろ
北山
あ…あぁ‥あっ…ハァハァハァ、はぁ
二階堂
なに?水、水が欲しい、渉やっぱ変だ


(ニカ…)

苦しそうに肩で大きく息を吐き、何かに耐えるかの如くグッと両手の拳を握りしめ暫くすると。

北山
うっ、ああっ、わあぁ、あっ
横尾
北山!


とつぜん身体をねじり、まるで悶えるかのように
暴れだし。

北山
ん…やっ‥だ…やっ、あっ、ああ‥あ…
二階堂
宏光、ねぇしっかりして!
横尾
ニカ、冷蔵庫に冷えピタが入ってるから持って来て、それと冷やしタオル
二階堂
分かった
横尾
あっ、氷を入れた洗面器もね
二階堂
了解!


ダダダダダダッと物凄い勢いでキッチンへすっ飛んで行くニカ。

横尾
北山、大丈夫だから
北山
横…尾‥さん…くっ、俺
横尾
大丈夫、ねっ?


その小さな身体を抱きしめ髪の毛を撫でながら諭すように何度も口にする、すると少し落ち着いたのか顔を上げ俺のことを見つめ。

北山
藤…ヶ谷‥は
横尾
えっ、藤ヶ谷?
北山
ん…そっ‥
二階堂
太輔なら帰ったよ


戻って来たニカがそう言うと「んだ…か」北山は、寂しそうな表情をし。

(お前…)

二階堂
渉、持って来たよ
横尾
Thank You、ほら寝てな熱がある
みたいだし冷やさなくちゃ
北山
…だい‥じょう…ぶ
二階堂
大丈夫じゃない寝る!
北山
…っ、ニカ


圧されるかの如く横になった北山の額にピタッと
冷えピタを貼り、頬は熱のせいか真っ赤に染まっ
ていて相変わらず荒い呼吸を繰り返している。

その首筋に、冷やしタオルを当て。

横尾
ゆっくり休んで、ねっ
二階堂
あとで高林先生が往診に
来てくれるって


その言葉にピクリと肩が反応し、そのまま下へと
俯いた「藤ヶ谷…か‥そうだよな」分かっていた、
北山が誰を慕い必要としているのか。

(でも、それでも俺は‥)

二階堂
眠った?宏光


(俺だって、ずっと傍で見て来たんだ彼奴に負けないくらいにずっと)

いつの間にか芽生えていた北山への気持ち、それに気づいてしまったこの夜。

高林
もうサプリメントではダメですね
横尾
じゃ
二階堂
先生、ミツは?
高林
話しても宜しいんですか?


翌朝、往診に来てくれた先生の言葉に俺はコクリと頷いた。

高林
落ち着いて聞いて下さい北山さんは
二階堂
‥‥っ


(もう誤魔化しきれない藤ヶ谷、ニカだけじゃない
タマや千賀、宮田にだって近いうちにバレるだろう)

そう覚悟を決め俺は再度、あいつにメールを送った「俺達は皆で北山を護ろう、6人で力を合わせればきっと出来るはずさ」

しかし俺と藤ヶ谷…いや二階堂や千賀さえも、もう1つの異変がそこにあったことに気がついていなかったんだ。あのとき北山と藤ヶ谷のことに目を奪われ唯一、宮田だけを除いては。