夜明けが近づくにつれ時々「ん…うぅん~ん」と、なにかにうなされているかのように声を出す北山、俺はそれが気になって仕方なく。
ぎゅっと、その手を握り声を掛ければ微かに瞼が
動いて再び眠りにつく。その繰り返しでさ、夜中
の3時すぎ。
今までにない大きな声に、さすがのニカも目を覚まして。
眉間にシワを寄せ辛そうな表情、微かだが意識を
取り戻しつつあるのが分かる。
そして、うっすらと瞳が開き一点をジッと見つめ。
そのあとチラチラと瞳がさ迷い始め周囲を確認するかのように。
そう言うとハッとしたかの如く眼を見開き「そっ、それで」とたんに起き上がろうとした瞬間、ぐらっと身体がグラつき。
慌てて俺と二階堂が支え、しかし燃えるように全身が熱い。
(ニカ…)
苦しそうに肩で大きく息を吐き、何かに耐えるかの如くグッと両手の拳を握りしめ暫くすると。
とつぜん身体をねじり、まるで悶えるかのように
暴れだし。
ダダダダダダッと物凄い勢いでキッチンへすっ飛んで行くニカ。
その小さな身体を抱きしめ髪の毛を撫でながら諭すように何度も口にする、すると少し落ち着いたのか顔を上げ俺のことを見つめ。
戻って来たニカがそう言うと「んだ…か」北山は、寂しそうな表情をし。
(お前…)
圧されるかの如く横になった北山の額にピタッと
冷えピタを貼り、頬は熱のせいか真っ赤に染まっ
ていて相変わらず荒い呼吸を繰り返している。
その首筋に、冷やしタオルを当て。
その言葉にピクリと肩が反応し、そのまま下へと
俯いた「藤ヶ谷…か‥そうだよな」分かっていた、
北山が誰を慕い必要としているのか。
(でも、それでも俺は‥)
(俺だって、ずっと傍で見て来たんだ彼奴に負けないくらいにずっと)
いつの間にか芽生えていた北山への気持ち、それに気づいてしまったこの夜。
翌朝、往診に来てくれた先生の言葉に俺はコクリと頷いた。
(もう誤魔化しきれない藤ヶ谷、ニカだけじゃない
タマや千賀、宮田にだって近いうちにバレるだろう)
そう覚悟を決め俺は再度、あいつにメールを送った「俺達は皆で北山を護ろう、6人で力を合わせればきっと出来るはずさ」
しかし俺と藤ヶ谷…いや二階堂や千賀さえも、もう1つの異変がそこにあったことに気がついていなかったんだ。あのとき北山と藤ヶ谷のことに目を奪われ唯一、宮田だけを除いては。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!