出久side
あの後、消防隊が来て火は消された。
そして、あなたちゃんのお父さん、お母さんの死亡に確認された。
お葬式が開かれた時、あなたちゃんは泣いてなかった。
いや、泣けなかったんだと思う。
家が燃えてしまったから、家の修理が終わるまであなたちゃんは僕の家に住むことになった。
あなたちゃんは、もぬけの殻のようにボーッとしてる事が多くなった。
遊んでいる時も空元気をしているようだ。
僕とかっちゃんは「大丈夫?」などと声をかけると、あなたちゃんは辛そうな笑顔を浮かべて「大丈夫だよ。」という。
見ているだけで辛かった。
ある日の事だった。
遊んでいる時だった。
ピンポーン
お母さんが対応する。
そう言って、あなたちゃんは行ってしまった。
トガちゃんside
私はあなた会いに行くために歩いていた。
そして、角を曲がる。そしたら、あなたの家。
の、はずなんだけど
あなた家は修理されていた。
私は修理をしていたおじさんに聞く。
あなたのお母さんとお父さんが…
おじさんは指を指す。
私は行こうとする。
そう言ってポケットから少し焦げた袋のようなものを取り出す。
そう言って私は袋を受け取る。
私はおじさんに手を振り、隣の家へ向かう。
そして、その間、少し袋の中身を確認する。
これは、あなたに届けないと。
そう思いながら私は隣の家のインターホンを押した。
-------❁ ❁ ❁-------
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!