心臓の音がまだ収まらない中、突然、着信音が鳴った
空気が一瞬で現実に引き戻される
短く用件を終えると、こちらに視線が向く
少し名残惜しそうに、それでもいつもの距離で
軽く背を向けて、そのまま離れていく。
残された静けさの中、さっきの言葉だけがやけに鮮明で、
頬の熱も、心臓の音も、まだ消えてくれなかった
さっきの言葉が何度も浮かぶ
考えないようにしたいのに、無理だった
顔を覆ってソファに倒れ込む
小さく漏れた声は、自分でも驚くくらい熱を持っていた
その時 、
震えたスマホに、心臓が跳ねる
画面に映った名前を見た瞬間、呼吸が止まりそうになった
たったそれだけ
いつも通りみたいな文章なのに、
さっきの後だと全然いつも通りじゃない
返信画面を開いては閉じて、また開く
何を送ればいいのか分からないまま、
頬の熱だけがまたぶり返していた













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。