気がついたら知らない場所に私は横たわっていた。
蛍光灯が眩しく、思わず天井から目を背ける。
すると視線の先にはベージュ色のカーテン。
鼻にはちょっとツーンとする薬の匂い。
部屋の外はガヤガヤとしていた。
身じろぎをするものの、いくつもの管が体に繋がれていて不可能に終わった。
しばらくすると、コツ コツ と規則的な足音が部屋に響く。
私は目を開き、足音のする方に目をやる。
視線の先にいたのは
親友の “美帆“ だった。
「あなた!起きたの!?
ナースコール!!!!」
頭の方で ビーッ! と音が鳴る。
まもなく医者と看護師3人ほどが入ってきた。
「あなたさん?あなたさん?聞こえますか?」
医者の呼び掛けに コクリ と頷く。
「1度、検査を行います。失礼します。」
そう医者がいうと、私はそのまま検査室へと運ばれた。
部屋を出る時にみた 美帆 の顔は涙でぐしゃぐしゃだった。
(……私は…いっそ死にたいぐらいだよ。)
事故に遭う前に私が過ごしてきた日々が脳裏に蘇る______________________________
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!