第21話

交わらない
703
2019/08/31 05:09 更新
仁菜と二人の帰り道。

いくつか他愛ない話をした後、仁菜が問う。
仁菜
凛雨さ、どうしてフード脱いだの?
凛雨
……え
つい、足が止まる。

仁菜も止まって、僕の前にまわり込んで顔を見上げてきた。
仁菜
フード脱いだ日の朝に言ってたの以外にも理由あるでしょ?……何?
鋭い……。でも、今はまだ言うわけにはいかない。
凛雨
仁菜が心配するような理由じゃないよ。大丈夫
微笑んでみせると、仁菜の表情はかえって暗くなった。

え……?安心してくれると思ったのに。
仁菜
立川くんは知ってるの?凛雨がフードを脱ごうと思った理由
凛雨
あ、……うん、だけどそれは、
仁菜が打ち明ける相手としてダメなんじゃなくて、言ったらバレちゃうから……。

そう言ったら今度は何がバレるのかってなりそう。これ以上は言えない。
仁菜
……そっか。わかった
寂しそうな声だった。

そんな顔をさせたいわけじゃないのに。考えても考えても、理由を話さずに君の誤解を解く方法が思いつかない。

でも、今の僕で全部話したら、待っているのは玉砕だけだ。
凛雨
……ねぇ仁菜、今日僕の家寄ってかない?
なんとか君を笑顔にしたくて、母さんの力を借りようと思ったけれど。
仁菜
……ううん。今日は遠慮しとく。ありがと
そのせいで、作り物の笑顔をさせてしまった。

プリ小説オーディオドラマ