運命ってなんだと思う?
必然的にそうなること?もともと決まっているもの?
私は…
礼をしてそのまま自分の席へ座る。
憧れだった緑秦学園から推薦がきて、入学できることが決まった。
何よりも嬉しい、とまではいかないけど最高の気分だった。
しかし生憎「あ」から始まる名前のせいで出席番号は1番前。
聞き覚えのある声に、聞き覚えのある名前。
本当にこの苗字と名前が実在していたという以前に、本名をそのまま活動名に使用しているということに驚いた。
前にクトゥルフ神話で使用したキャラも淡雪六花とそのまま自分の名前を使っている。
雪やみぞれに関連する名前が思いつかなかったというのが主な原因だが…
しかし、苗字も名前も同じといえど本人かどうかはわからない。
まぁあの自己紹介の適当さといい、本人だとは思うが。
そして幸か不幸か、八幡さんの席は私のちょうど前。
話しかけやすい席順になっている。
どうせいつかは話しかけるだと腹を括り、椅子を軽く叩く。
自己紹介の最中なのでものすごく申し訳ないが、彼女は振り向いてくれる。
しかしなんて言えばいいのかわからず、言葉に詰まっていると隣の席の人の自己紹介が聞こえてくる。
横目に白髪が揺れるのを見る。
高い位置でミディアムヘアをツインテールにした彼女は、紛れもなくレイラーさんだった。
八幡さんに声をかけるのも忘れて、私はレイラーさんの方を見る。
無事に自己紹介を終えて安堵したのか、彼女は微笑みながら前を向いている。
そのまま固まっていると、八幡さんから活動名で呼ばれる。
八幡さんは体は全体が見えるように横に向け、視線だけをこっちに向けて話しかけてくる。
不器用な私にはそんなことできないから前を向いたままだけど。
クトゥルフのキャラだからバレないと思ってたのは誤算だったか…
それでもレイラーさんほど安直ではないけど、なんて思ってから違和感に気づく。
八幡さんがそういうのと同時に私の斜め前の席の人…八幡さんの隣の席の男子が立ち上がる。
そう言い終わると、ひなにいさんは綺麗なお辞儀をし、席に座る。
妹のヒナさんもいるとなると、この学園には相当のメンバーがいることになる。
私の独り言に、八幡さんが軽く返す。
確かに学校側が絡んでいてもおかしくないくらいには偶然が重なっている。
必然でもいい、だからこの学校生活を楽しみたいと思った。


















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。