第5話

ケッショウ
85
2023/12/28 10:00
全員でこたつに入って寒をしのいでいる中。こんなことをしているのがいきなり悲しくなって。
どうして嫌になったのかは、そのときの俺も知らない。
けど、予定された行動のように、俺はごく自然に席を外す。
くまめいぷる
ちょいトイレ
すと
ん、いてら
了承と、騒がし気な声を背に廊下へと出る。
トイレではなく、隣にある階段を音を立てずに登る。
登りきると、滅多に使われなくなったコマンド部屋の扉を開ける。
ここの設定をしたすとさんには申し訳ないな〜なんて。他人事を考えながら。
別に怒られることはないしな。と。
まるで、〝決まっている〟ように。
そして、凍りついた外を見れる窓。
その前に立つと。
力のかぎりを使って、窓をこじ開けた。




踊りながら舞い込んでくる冷気。
吹き抜ける風が泣いているように唸っている。
吸い込んだ俺の肺が悲鳴を上げている。
心臓にも、氷が当たったのを感じた。
周りでも、コマンドブロックが機能をその停止させている。
窓を開けた右手の感覚が麻痺したのを自覚してから、俺は窓を閉めた。
窓の外で落ちた星は、もう彼の目には映っていないんだろう。
すと
…?
少しの嫌な気。
とまぁ、そんな事を言ったって、トイレの中で凍死とか言うアホな真似は、くまさんでもしないだろう…多分。
…少しだけ不安になる。
そんな私の馬鹿げた心配を知ってか知らずか。くまさんは戻ってきた。
〝全く。笑ってやろうと思ったのに〟
ばむと
あっくまさん!聞いて下さいよ〜この前の夏でですね〜
過ぎ去ってもう見れない季節の話をしているばむと。
くまめいぷる
何やってんだソレ…
ばむと
わぁくまさんに言われるとは思わなかった!
くまめいぷる
俺を何だと思ってんだ…
と呆れている彼。
…目が凍ったように見えたのが、私だけであることを祈って。

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