親の帰ってこない、残りの一日は
使用人と外に出て遊んだり、家でゆっくりしたり、
たくさん新しい事をした
少女は、永遠にこの時間が続いて欲しい
時間が止まって欲しい、とまで思う程に楽しかった
だからか、時はあっという間で…
気が付いたら、もう明日になり親は帰ってきた
少女の母親は優しく微笑んで、使用人に言った
少女にとっては、初めて見た母親の優しい顔だった
そして使用人も、お母さんにニコリと笑いながら小さくお辞儀をしていた
だけど、使用人も少女の母親もその笑顔が偽りだったのは見てて分かった
ある日……
少女は夜中に目を覚まし、水を飲みに行こうとリビングへ向かった時だった
少女はピタリと立ち止まった
リビングから誰かの声が聞こえたのだ
一人ではない、二人くらい
何やら話し声だった
リビングには入らず、少女は扉を小さく開けて中を覗き、扉越しに聞き耳を立てた
少女は吃驚した。
だって使用人が
他でもない少女の事を庇っていたから
そして、使用人の話していた相手は……
そう、少女の姉だった
思わず飛び出したくなったが、今の間だけ…せめて、少女の姉が居なくなるまで待とうと思った
嘲笑いながら使用人を見下す少女の姉
初めて、少女の中に怒りという感情が垣間見えた
「虹音を侮辱するな」
そんな感情が心の中でグルグル回り
少女は思わず顔を顰めた
声を荒らげて、少女の姉はそう言った
少女が部屋に入れる雰囲気は全く無くて、
怖くて足が竦んだ
空気を吸うのさえも苦しかった
痺れを切らして顔を真っ赤にしながら、眼に涙を溜めて怒りながら、使用人はそう言う
使用人の怒っている姿は初めてみた
が、少女の姉に負けない程の強さがあった
その言葉を聞いて、
ずっしりと重い物が全身にのしかかったような
とてつもない嫌悪感と苦しみに陥った
今更、少女は姉に感情なんて持ってないのに、「妹」を否定された時は、何故か少し虚しかった___
深く頭を下げて、使用人は丁寧にそう言った
少女は一部始終を伺って、酷く吃驚していた
信じられなかった
少女は疑問だらけになった
「なんで私の為にそこまでするの?
赤の他人に如何して慈悲を垂れるの?
価値のない人間を、何故助けるの?」
たくさんの言葉が、少女の脳内を駆け巡った
そう言って、少女の姉は手をヒラヒラ振りながら
その場から直ぐに立ち去り、
使用人は無言の儘、その場で立っていた
関係のない使用人が巻き込まれている事に、
少女は苦しくも部屋へ入れなかった














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。