苦しそうな声で使用人は紙切れを渡した
紙切れを見ると、
そこには観覧車の頂上で撮った夕焼けをバックに
女の子二人がピースサインをしている
紛れもない、あの時の写真だ____
少女はその写真を使用人から優しく受け取り、ギュッと其れを胸に当てた
敬語で使用人はそう話す
少女は悔しそうに唇を噛み締めた
焦るように少女はそう言う
只々、倒れている使用人を前に何も出来ない自分が悔しくて、憎くて憎くて堪らなかった
其の感情を隠すように、
使用人の服の袖をギュッと握り締めた
弱々しい声で使用人にそう言われる
其の言葉には逆らえず、
少女は静かに耳を傾ける事に集中した
薄らと笑みを浮かべて使用人は優しくそう言った
そう言われた瞬間、視界がぼやける
少女の瞳からはとめどなく大粒の涙が溢れ、
綺麗な雫は頬を伝い落ちた
これが物知りな使用人にたくさん教えてもらった中で最後の言葉だった____
嗚咽を漏らしながら、少女は泣き叫ぶ
少女にとっても、
こんなに感情的になったのは初めてだろう
その少女の様子に、
少女を置いて消えてしまう使用人が苦しみを感じた
か弱く苦しそうに使用人は少女の名前を読んだ
その様子に
少女は俯きながら弱々しく「なに」と聞く
最後に使用人は拳を作り、
泣きながらも無邪気に明るく笑ってそう言った
それから使用人が口を開く事は無くなった
永遠の眠りについたのだ____
少女は立ち上がった
そして静かな口調でこう唱えた
黄金色のフワフワな毛並みをしたとてつもなく大きな狐が鈴の音を立てて目の前に現れた
大狐を呼んだのは、今日が初めてだった
夢の中でお話するだけだったのに。
少女はキッパリとそう言う
すると狐酔は「承知」と言って姿を消した
それから数分後、
ゴオと音を立てて
たちまち家から炎が燃え盛った____
家の中からは家族の悲鳴が聞こえてきた
それさえも、少女は何も思わなかった
少女が大狐に御礼を言うと、丁寧な口調でそう言われた
少女は冷たくなった使用人の遺体を小さな身体で持ち上げ抱えて、大狐の背に乗せた
『其奴』は恐らく『使用人』の事だろう
少女は大狐の背に跨りながら話す
お墓の作る場所はもう決めてある
前に虹音が話していた、故郷の場所だ
確か…『ヨコハマ』と言っていた気がする
彼処に必ず埋めると少女は決めていた
それから少女は短い一人と一匹の旅に出た____














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。