金井side
布団を頭から被ってから数分後
急に眠気が襲い、そのまま瞼が閉じた。
それから気持ち良く寝ていた頃
俺は窓からの明かりで目を覚ました。
横を向けば、崇裕もベットにうつ伏せになりながら寝ていた。
頭から被っていた布団も体にかかっていたので
崇裕がかけ直してくれたんだと気が付いた。
俺は崇裕にその布団をかけてあげた。
なるべく起こさないように布団をかけたつもりだが…
そんな話をしているといきなりドアが開いた。
入ってきたのは、
はい、そうです。
重岡大毅くんが来ました。笑笑
一気にうるさくなる病室。
はい、退いた〜!と
崇裕を立たせて荷物を持たして
そのまま廊下に出させた大毅。
そして、崇裕を廊下に出させた大毅は
崇裕が座っていた椅子を俺の左側に持って来て
椅子に座った。
それから大毅の話が続いた。
淳太にGのおもちゃを見せた後の反応が最高とか
望がここに来たいけど仕事が入ってて嫌や〜と
うるさかったとか
照史が今日もうどんばっか食っててとか
智洋も新しい服を買ったらしく着てきたけど
やっぱり派手だったとか
りゅうはまた飲み物を口に含んだまま喋って
しまったとか
口を開けばやっぱりメンバーの話で…。
でも、大毅は「ホンマうざいわ〜」とか
言っときながら、その顔は嬉しそうな顔をして
大毅のチャームポイントである笑窪も出しながら喋ってるから
ホンマにメンバーのこと好きなんやなって思った。
矛盾してるで?大毅。笑笑
こんにゃろーー!と言いながら
ゴツゴツした手で俺の頭をゴリゴリと
雑に撫でる。
崇裕と全然ちゃう。笑笑
頭から手を離したと思えば
今度は俺の肩に手を置き俺の目を見つめる大毅。
真剣な顔をして俺の肩に手を置きながら話す大毅。
喋り終わった後、静かに椅子に座った大毅は
下を向きながら、手をいじいじさせながら
そう言ってぱっと顔を上げて俺の目を見て大毅は
崇裕は確かに俺のシンメ。
どんな時でも俺のそばにいてくれて
小さな異変もすぐに気が付いて
「大丈夫か?」と背中や頭を優しく撫でてくれる。
相談も必ずと言っていいほど崇裕にしていた。
大毅はwセンターの相方。
俺も大毅が隣にいるから俺らしく踊ることが出来る。
俺はこのままの関係でいいと思ってた。
俺の右には濵田崇裕というシンメがいて
俺の左には重岡大毅というダンスの相方がいて
ただそれだけでいいと思ってた。
でも、大毅は違ってた。
wセンターだけじゃなくて
ちゃんとしたシンメになりたい。
そう言ってるみたいに聞こえた。
「wセンター」という形でジャニーズWEST居たくない。
「wセンター」という形で俺の左に居たくない。
ちゃんとお互いをもっと知って
崇裕の次のシンメみたいな存在になりたいと
大毅は思ってた。
もっと大毅を見ていれば
大毅はこんなに苦しまずにすんだのか…。
大毅は大毅らしく俺を支えてくれてた。
いつも。どんな時でも。
でもそれは今思えば
早く気づいて欲しかったに違いない。
「俺も居るから」と
「あなたの左はいつも俺やから」と
あの日あの時のあの瞬間から大毅はずっと考えてた。
どうやったら「wセンター」という相方が
ちゃんとした相方になるんやろうかと。
少しだけ試してみる。
大毅は俺のことどんな風に思ってくれてるのか。
大毅は俺にとってなんなのか。
大毅の目に映る俺はどんな風に映っているのか。
そしてふぅーと深い深呼吸をした大毅は
椅子から立ち上がり、窓の方に行き
空を見たりと外の景色を見る。
俺の方に背を向けたまま大毅はまだ続ける。
俺の方に背を向けたままの大毅が
振り返って俺に指を指した大毅。
優しく笑ってまた大毅は椅子に座って
俺の手に大毅の手が重なる。
間違いないと思う。
どこまで週刊誌さんが俺のことを知っているか。
もしバレたら、知っていたら
その情報は直ぐに世の中に広がる。
そして、俺はまた苦しむだろう。
まだ100%傷が癒えてないから。
その時きっとちゃんと真相を知ってくれてる
崇裕は間違いなく俺のことを支えてくれるだろう。
それからも大毅と話して
大毅は仕事があると椅子から立ち上がり
帰る用意をした。
右向けば崇裕、左向けば大毅。
新しいシンメ。
それは「wセンター」という形だけじゃない
崇裕とは違う、新しい形のシンメ。
新しいジャニーズWESTの始まり。
そう思ったのはきっと大毅もそうやと思う。
部屋から出ていった時の大毅の顔は
嬉しそうな顔やったから。
気づくの遅なってごめんな。
これからもよろしくな、大毅。
窓から見える大毅の背中を見守った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。