第116話

右向けば崇裕、左向けば…?
1,730
2020/06/12 02:39
金井side
布団を頭から被ってから数分後
急に眠気が襲い、そのまま瞼が閉じた。

それから気持ち良く寝ていた頃
俺は窓からの明かりで目を覚ました。

横を向けば、崇裕もベットにうつ伏せになりながら寝ていた。
頭から被っていた布団も体にかかっていたので
崇裕がかけ直してくれたんだと気が付いた。

俺は崇裕にその布団をかけてあげた。

なるべく起こさないように布団をかけたつもりだが…
濵田崇裕
濵田崇裕
んっ?あなた…?
金井
金井
あっ!悪い。起こした?
濵田崇裕
濵田崇裕
おおん、大丈夫。
あなたは?平気?
金井
金井
おん、お陰様で大丈夫やで。
そんな話をしているといきなりドアが開いた。

入ってきたのは、
重岡大毅
重岡大毅
うぃーーーーす!!!
金井
金井
うるっさ。
重岡大毅
重岡大毅
はぁ!?
はい、そうです。
重岡大毅くんが来ました。笑笑
一気にうるさくなる病室。
金井
金井
何しに来たん?
重岡大毅
重岡大毅
濵ちゃんを持ち帰りに来た!!
濵田崇裕
濵田崇裕
はっ!?俺!?
重岡大毅
重岡大毅
おん!
もう2人きりは終わりでーーす!
今度は俺があなたと2人きりに
なりまーーーーす!!
はい、退いた〜!と
崇裕を立たせて荷物を持たして
そのまま廊下に出させた大毅。

そして、崇裕を廊下に出させた大毅は
崇裕が座っていた椅子を俺の左側に持って来て
椅子に座った。
金井
金井
なんで場所変えてん笑笑
重岡大毅
重岡大毅
ええの!!
あんな!?
今日聞いて欲しいもんあんの!
あんな!
それから大毅の話が続いた。
淳太にGのおもちゃを見せた後の反応が最高とか
望がここに来たいけど仕事が入ってて嫌や〜と
うるさかったとか
照史が今日もうどんばっか食っててとか
智洋も新しい服を買ったらしく着てきたけど
やっぱり派手だったとか
りゅうはまた飲み物を口に含んだまま喋って
しまったとか
口を開けばやっぱりメンバーの話で…。
でも、大毅は「ホンマうざいわ〜」とか
言っときながら、その顔は嬉しそうな顔をして
大毅のチャームポイントである笑窪も出しながら喋ってるから
ホンマにメンバーのこと好きなんやなって思った。
矛盾してるで?大毅。笑笑
重岡大毅
重岡大毅
でさ、あなた。
あなたもあなたやで!
金井
金井
俺?
重岡大毅
重岡大毅
せやで!!
こんなニコニコ天使ちゃんが
1人寂しく待ってたのに!
ドア開けたら濵ちゃん居るし!
もう!めっちゃ腹立つやんけ〜!!
こんにゃろーー!と言いながら
ゴツゴツした手で俺の頭をゴリゴリと
雑に撫でる。
崇裕と全然ちゃう。笑笑
金井
金井
やーめーろー。
重岡大毅
重岡大毅
悪い子にはこうじゃーーー!!
金井
金井
痛い!
痛いって!笑笑
頭から手を離したと思えば
今度は俺の肩に手を置き俺の目を見つめる大毅。
重岡大毅
重岡大毅
発作出るくらい辛い過去なら
いくら消したくても消せない
大きな傷やと思う。
それは俺が思っているよりも
もしかしたら遥かに辛いもんやと思う。
でもな?もし濵ちゃんが仕事で来れなくて
でも誰かに聞いて欲しい時は
俺に電話よこせ。
俺なら聞く。仕事あっても抜け出す。
金井
金井
抜け出したらあかんやろ…。
重岡大毅
重岡大毅
最後まで聞け。あなた。ええか?
俺はあなたの過去を聞きたいとは思わん。
聞いたところであなたが苦しむなら
俺は聞かへん。
あなたが苦しむ顔を俺は見たない。
だから話さなくてええ。
でも、これだけは覚えといてな。
もし過去のことで心が辛くて苦しくて
涙で世界が滲む時、俺を呼べ。
濵ちゃんが照史が淳太が電話しても
出ない時、俺を呼べ。
俺やったらすぐ行ったる。
駆けつけたる。
わかったか?
電話で俺を呼べ。
俺の名前を呼んでくれたら直ぐ来るから。
大毅って呼んでくれたら
走ってくるから。
真剣な顔をして俺の肩に手を置きながら話す大毅。

喋り終わった後、静かに椅子に座った大毅は
下を向きながら、手をいじいじさせながら
重岡大毅
重岡大毅
あなたのシンメは濵田崇裕ただ1人。
色々相談乗れる相手やと思う。
あなたのことを1番理解している相手や。
俺も負けるなぁて何度も思うよ。
1番あなたの異変に気が付いて駆け寄るから。
そう言ってぱっと顔を上げて俺の目を見て大毅は
重岡大毅
重岡大毅
俺はwセンターの相方や。
踊りの相方や。ダンスの相方や。
あなたが隣やから俺は楽しく踊れんねん。
でも、この関係が嫌やねん。
踊りだけの相方っていうただそれだけの
関係が。
踊りだけのっていうのが嫌やねん。
勿論、メンバーなのは変わらん。
でも、俺も…。
濵ちゃんみたいに頼られたいんよ。
濵ちゃんみたいなあなたのシンメに
なりたいんよ。
あなたの左側には俺がずっと
立って置きたいねん。
どんな時でも。ずっと。
崇裕は確かに俺のシンメ。
どんな時でも俺のそばにいてくれて
小さな異変もすぐに気が付いて
「大丈夫か?」と背中や頭を優しく撫でてくれる。
相談も必ずと言っていいほど崇裕にしていた。


大毅はwセンターの相方。
俺も大毅が隣にいるから俺らしく踊ることが出来る。
俺はこのままの関係でいいと思ってた。
俺の右には濵田崇裕というシンメがいて
俺の左には重岡大毅というダンスの相方がいて
ただそれだけでいいと思ってた。

でも、大毅は違ってた。
wセンターだけじゃなくて
ちゃんとしたシンメになりたい。
そう言ってるみたいに聞こえた。
「wセンター」という形でジャニーズWEST居たくない。
「wセンター」という形で俺の左に居たくない。
ちゃんとお互いをもっと知って
崇裕の次のシンメみたいな存在になりたいと
大毅は思ってた。
重岡大毅
重岡大毅
wセンターだけの関係じゃ
俺は嫌や…。
俺の右にはあなたが居て
俺の左には神ちゃんが居る。
そんなんじゃあかんかな…?
俺がわがまますぎんのかな?
もっと大毅を見ていれば
大毅はこんなに苦しまずにすんだのか…。

大毅は大毅らしく俺を支えてくれてた。
いつも。どんな時でも。
でもそれは今思えば
早く気づいて欲しかったに違いない。
「俺も居るから」と
「あなたの左はいつも俺やから」と
あの日あの時のあの瞬間から大毅はずっと考えてた。
どうやったら「wセンター」という相方が
ちゃんとした相方になるんやろうかと。
金井
金井
…贅沢なわがままやな。
重岡大毅
重岡大毅
やっぱりあかんか…。
金井
金井
俺の性格言えるか?
少しだけ試してみる。
大毅は俺のことどんな風に思ってくれてるのか。
大毅は俺にとってなんなのか。
大毅の目に映る俺はどんな風に映っているのか。
重岡大毅
重岡大毅
アホで頑固で… 
かと思えば周りをよく見て
自分を犠牲にしてまでも周りを優先する。
俺らにちゃんとこっちやでと
手を差し伸べてくれる。
ジャニーズWESTを正しい道へと
運んでくれる。導いてくれる。
かっこいい誘導者。
金井
金井
ははっ笑笑
重岡大毅
重岡大毅
他にもあるで?
家族思いで、負けず嫌いで
責任感強くて…
俺がやらなきゃってすぐ思う。
赤の他人でもよく人助けをする。
心が暖かい人。
そしてふぅーと深い深呼吸をした大毅は
椅子から立ち上がり、窓の方に行き
空を見たりと外の景色を見る。

俺の方に背を向けたまま大毅はまだ続ける。
重岡大毅
重岡大毅
ジャニーズWESTの白色に相応しくて
俺らの白色にピッタリ当てはまる人。
あなたは俺らをあなたらしく染めてくれる。
あなたは俺らを俺ららしく目立たせてくれる。
ライブの演出も俺らをかっこよく
魅せるように人一倍会議に参加して
ここは小瀧、ここは照史とか
ちゃんとメンバーのことを考えてくれる。
俺の方に背を向けたままの大毅が
振り返って俺に指を指した大毅。
重岡大毅
重岡大毅
あなたはジャニーズWESTに必要な人や。
優しく笑ってまた大毅は椅子に座って
俺の手に大毅の手が重なる。
重岡大毅
重岡大毅
ジャニーズWESTだけちゃう。
俺にとっても必要な人や。
俺の右にはあなたが必要や。
やから…、
金井
金井
シンメになって。か?
重岡大毅
重岡大毅
ちょっ、ええ所とんなよ!
金井
金井
俺は幸せもんやな。
重岡大毅
重岡大毅
んっ?
金井
金井
俺には皆が居てホンマに幸せや。
右向けば崇裕が居て
左向けば大毅が居るんやもん。
俺は今まで崇裕だけが俺のシンメやと
思ってた。
大毅はずっと俺のダンスの
相方やと思ってた。
でも、今思えば確かにダンスだけの関係
嫌やな。
重岡大毅
重岡大毅
じゃ、俺ら…。
金井
金井
シンメ…やな。
重岡大毅
重岡大毅
濵ちゃんと一緒にあなたを支えるから。
金井
金井
崇裕から聞けばええよ。
俺の色んなこと。
そこで聞けばええ。俺の過去。
重岡大毅
重岡大毅
それは…!?
金井
金井
時間の問題やと思う。
バレるのも。
もしかしたら週刊誌さんもマーク
してると思う。
間違いないと思う。
どこまで週刊誌さんが俺のことを知っているか。
もしバレたら、知っていたら
その情報は直ぐに世の中に広がる。
そして、俺はまた苦しむだろう。
まだ100%傷が癒えてないから。
その時きっとちゃんと真相を知ってくれてる
崇裕は間違いなく俺のことを支えてくれるだろう。
重岡大毅
重岡大毅
…分かった。
とりあえず、濵ちゃんにこのこと
伝えとく。
俺もあなたのシンメになったって。
金井
金井
崇裕どう思うんやろうな〜。
重岡大毅
重岡大毅
俺だけのあなたや!とか
言いそうやな。笑笑
金井
金井
言う言う!
崇裕は言うわ笑笑
それからも大毅と話して
大毅は仕事があると椅子から立ち上がり
帰る用意をした。
重岡大毅
重岡大毅
ほな帰るわ。
金井
金井
おぉ、気ぃつけて。
重岡大毅
重岡大毅
濵ちゃんにちゃんと伝えとく。
金井
金井
俺からも話してみるわ。
重岡大毅
重岡大毅
おおきに。
またな。
電話してなー?
金井
金井
はいよー。









右向けば崇裕、左向けば大毅。

新しいシンメ。
それは「wセンター」という形だけじゃない
崇裕とは違う、新しい形のシンメ。




新しいジャニーズWESTの始まり。




そう思ったのはきっと大毅もそうやと思う。

部屋から出ていった時の大毅の顔は
嬉しそうな顔やったから。



気づくの遅なってごめんな。
これからもよろしくな、大毅。

窓から見える大毅の背中を見守った。

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