第6話

#6
272
2019/03/21 00:33
林田 夕稀
よし決めた!
林田 夕稀
私、遠坂くんを幸せにするよ!
私は胸を張って、笑った。
遠坂 昴
え、それって、今の俺は幸せじゃないってこと?
予想外の質問だった。
林田 夕稀
あ、えっと、その、そういうわけじゃ...
私が戸惑っていると、彼はぷはっ吹き出した。
遠坂 昴
あはは。うそうそ。
遠坂 昴
ちょっと意地悪。
彼はにかっと笑った。


──────いつもの笑顔。


私が学校で見た、きらきらした笑顔。

良かった。まだ、彼は笑える。
遠坂 昴
てか、林田さんって死んだよね?
林田 夕稀
あ、うん。
遠坂 昴
今は幽霊?
林田 夕稀
そうみたい。
遠坂 昴
あ、あと、助けてくれてありがとう。ごめんなさい。
林田 夕稀
あはは。謝らなくて良いって。私の親も言ってたでしょ?
遠坂 昴
親子で性格とか似てるね。やっぱり、林田さんから産まれた林田さんだからかな?
林田 夕稀
うーん、分かんないけど、私の親が林田さんで良かったとは思ってるよ!
自然と、口元が緩む。
遠坂 昴
うん。俺もそう思う。
遠坂 昴
あ、あと...
彼はまた、何かを話そうとする。

お喋りなところも、学校にいる時と変わらない。
遠坂 昴
宜しくお願いします。
彼はそう言って、私に手を差し出す。
林田 夕稀
...え?
遠坂 昴
幸せに、してくれるんでしょ?
彼は笑った。さっきよりも優しい笑顔。
林田 夕稀
うん。勿論。
私は笑いながら、彼の手を握る。







この時、私は初めて思う。






















死んで幽霊になって、良かったかも。


と。






















林田 夕稀
とは言ったものの...
住宅街を歩きながら__正確にはふよふよと彷徨さまよいながら__独りで考える。


幸せにする。


それは一番の目的だ。
けれど、どうすれば良いか分からない。


彼と遊ぶことも考えたが、それは難しかった。

遊園地とか行っても、私が周りから認識されないので彼が独りで遊園地にいるという悲しい場面になってしまう。

それに、彼は親からお小遣いをもらえない。
林田 夕稀
誰かもう一人、私が見える人いないかなぁ。
私のことを認識出来る人がもう一人いたら、少しは変わる気がした。
林田 夕稀
うーん
独りで頭をフル回転させる。けれど、やっぱり分からない。
???
.....あ、
突然目の前に一人の青年が現れた。

それだけで驚きなのに、その青年は私をじっと見つめた。
林田 夕稀
私のこと、見えるの?
???
消えろ。
予想外の返事だ。
林田 夕稀
き、消えろって...?
???
よく言わない?悪霊退散って。
林田 夕稀
悪霊?私が?
???
いや、正確には、これからなるんだ。
???
だから、祓わせてもらう。
青年はどこから出したかも分からない札のような物を口にくわえた。


────これは、世間でいう祓い屋ではないか。
???
覚悟しろ。
青年が私に飛びかかる。

















絶体絶命のピンチです。

プリ小説オーディオドラマ