お昼になって、昨日のように先輩が休憩を告げにきて、
私たちは引き継ぎをして持ち場を離れた。
スマホを開くとユウからいくつかLINEが届いていた。
2日目の今日は休憩をユウと合わせていて
一緒にお昼を食べる約束になっている。
そんなユウからの連投LINEを見て
横にいたあなたの推しを見上げた。
私はユウから届いたLINEをそのままあなたの推しに見せる。
私がそう言うとあなたの推しは「……じゃあ」と
小さく微笑んだ。
ユウと二人で過ごす昼休みも楽しみだったけれど、
そこにあなたの推しとあなたの幼馴染が加わるなんて
予想外な展開に、少しだけ胸の奥がくすぐったい。
ちゃんと普通の顔して
「みんなで食べた方が楽しいよ」って言えたかな?
私はユウに「わかった!向かう〜」と返信をして
スマホをスカートのポケットに入れた。
それからあなたの幼馴染のご所望通り
コーラを入手するために自販機を目指す。
私たちもそれぞれ飲み物を買って
ユウが指定した第一視聴覚室に向かった。
………
私が視聴覚室のドアを開けると
教室の前の方に席を陣取った二人が私たちを出迎えた。
そんなふうにお互いに労いながら二人に混ざる。
そんな二人の言い合いに笑いながらユウの隣に座る。
テーブルに並ぶ、からあげ・たこ焼き・やきそば・
ポテト・フランクフルト・チュロス……。
まるでパーティーのように広げられた
屋台のトレーを見渡した。
ユウは満足そうに
テーブルに並んだ戦利品を見て笑った。
そう言ってあなたの幼馴染があなたの推しを睨む。
だけどあなたの推しはあなたの幼馴染のことを
チラリとも見ずに聞き流している。
それがあまりにもいつも私の前と横の席で交わされるのと
同じテンポで、つい口角が上がってしまう。
それから私たちは「おつかれ〜!」と言い合って
ペットボトルを合わせて、ユウとあなたの幼馴染が
買ってきてくれた屋台の食べ物に手をつけた。
二人から昨日はゆっくり聞けなかったクラスの
「うちの子カフェ」の盛況ぶりを聞きながら
箸をすすめる。
作り置きしていた焼き菓子やクッキーは
もう少しで完売になりそうなこと。
完売後はドリンクだけに切り替える予定であること。
準備していたシールでは足りなさそうで
会計係の人たちが追加で買いに行ってくれたこと。
そんな大成功の証を聞いて
私たちが当初考えていたよりもたくさんの人に
カフェを楽しんでもらえているのが嬉しくて
あなたの推しと顔を見合わせた。
ちなみに、はんぺんも大人気と聞いて
ニヤケが止まらないのをあなたの推しに見られて
笑われてしまった。
そう言って、自分が着ている
フリフリのメイド服を見下ろすあなたの幼馴染。
執事のタキシードを着たユウが
「あんたの分作るの、女子より腰回り広いから
布たくさん使ってもったいなかった」
と文句を付け足す。
あなたの幼馴染にそう聞かれたユウが「私?」と自分を指さす。
そんな二人のやり取りを聞きながら
気になったことを尋ねる。
あなたの幼馴染がくすくすと笑う。
私が「もう!」と言うと、
あなたの幼馴染は「ごめんごめん」と楽しそうに目を細めた。
そんな軽口を叩き合っているうちに、
テーブルを埋め尽くしていた屋台のトレーは
ほとんどが空になっていた。
………
休憩時間も終わりに近づいて
トレーを片付けながらこの後の動きを共有する。
ユウとあなたの幼馴染はこの後もクラスの方に顔を出すらしい。
ちなみに、あなたの幼馴染は
という理由。
そして私とあなたの推しは外でチラシ配り。
この後は教室に戻ってあなたの推しは執事のコスプレ、
私は……制服の上にエプロンをつけるだけだけど
それぞれ着替えることになっている。
片付け終わった私たちは揃って視聴覚室を後にした。
私とユウが並んで歩いて
その後ろにあなたの推しとあなたの幼馴染。
制服や私服の人たちが入り混じる廊下を
教室を目指して歩く。
やっぱりあなたの推しとあなたの幼馴染が並ぶと目を引くようで、
すれ違う人たちの視線は
一心に私たちの後ろに注がれている。
おどけるあなたの幼馴染にユウがツッコミを入れた時、
私たちは「うちの子カフェ」の看板を掲げた
教室に到着した。
こうして私たちは教室の前で解散することになった。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。