次の日、
俺は、5階建の洒落たオフィスビルに
恐る恐る足を踏み入れた。
メモに書いてあるのは3階
エレベーターを降りてすぐ、女の人が立っていた。
元ヤンぽい女に降りたばかりの
エレベーターに押し戻される。
ドアが閉まると同時に
昨日の女が奥から飛び出てきた。
ドアの向こうが騒がしい。
押し込んだのはそっちだろ。
俺が開くボタンを押そうとした時
エレベーターが5階に向かって登って行った。
♬* ੈ✩‧₊˚
俺は、気まずい思いをしながら、
やれやれと3階に戻るなり、
今度は更衣室に押し込まれた。
手渡されたのは、白い服と
亜麻色のウィッグ、それにカラコンと
……ヌーブラ!?
戸惑ってたら、
結局、着せ替え人形のように扱われた。
いやん。
なにそれ?
それが嫌なら、
──バレるなよ
はい?
俺が、その言葉の意味を理解したのは
このあとすぐのことだ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!