桜優と柊人、昂輝さんに涼さんにななさんはいなかった。
生徒会に属していた人で体育館にいたのは、彩乃ちゃんとツルギに玲央さんだけだった。
三者三様の態度だった。
ツルギはステージの調整をしていた。
何もないようなまっさらな無表情で。
彩乃はなにかを考えているように見えた。
ずっと悩んでいるような表情を浮かべていた。
玲央さんは笑顔だった。
いつも通りの「自分の感情」を隠すための笑顔。
色々な人が色々なところでおしゃべりをしていた。
私はもう不安で不安でいっぱいでただ一限目が始まるのを待っていた。
時間が過ぎ去っていくのは早かった。
桜優や柊人たちは何かを考えているように見えた。
そんな中でもはっきりとした笑顔を浮かべている昂輝さんは本当に強い人だ。
本当に格好が良かった。
しゃんと構えていて、困ってはいただろうにそれが感じられなかった。
すごくスピーディーな議会の前説だった。
ななさんは玲央さんからマイクをもらって、みんなに向き直った。
みんながななさんの動向に気を配っていた。
ななさんはまっすぐに前を見て、言葉を連ねていった。
ななさんはゆっくり、だけど分かりやすく言葉を結んでいった。
その姿はあまりにも綺麗だったし、あまりにも勇敢だった。



















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。