太古の怪物に似た何か。
それは、兵士達や追放者を混乱させるには充分なくらいの衝撃感があった。
人々が狼狽え、混乱していく中、「彼ら」は冷静に、作戦の実行に移る。
まちゃかりが敵兵のいる通路へ走っていく。
「おらァァァァァァ!!」という咆哮を上げながら敵兵を蹴り飛ばしていき、振り返って、左手で何かを指差しながらギーク達に右手を振る。ギーク達からはまちゃかりの腕しか見えなかったから、ギークとわどるどは警戒しつつまちゃかりが見える位置はまで移動した。
突っ走る元気があるのなら、兵士らを一掃してから進んで欲しい物である。しかしまぁ、普通に取りこぼしているし、蹴ったのも生きている。周りをちゃんと見ろマジで。
まちゃかりが叫ぶ。
まちゃかりが指差した先には、奇抜なデザインの、屋根付きバイクがあった。
このバイクは「LG-13」という名前で、空地両用の高性能バイクである。kun帝国兵用に改造されたタイプが存在する。
それを見たギークは、「あぁ」という感じの表情をした後、なんとも言えないような表情を浮かべる。
自動車の免許にも様々な物がある。飛行用バイクも、「飛行用二輪車免許」が存在し、普通の物と同じく原付、小型、AT小型、普通、AT普通、大型、AT大型の7種類の免許が存在する。ただし、飛行という事で陸よりも危険が高くなるので、免許の取得までにはかなりの時間を要する。
ただ、軍人やガーディアンズの人間は乗り物を選べない事が多いため、この免許は取って当たり前の物として認識されている。ギークのような例外を除けば、だが。
ギークは反対側の通路へと走っていった。
わどるどはまちゃかりの方に向かい、二つのバイクに乗って、飛行の準備をする。
わどるどは赤色のバイクを、まちゃかりは白色のバイクを使う事にしたようだ。
バイクはエンジンをかけると、通常聞こえてくる音と、ヘリコプターのプロペラが高速回転するような音がする。
これはバイクの両脇に装着されているプロペラが回転する音である。その後、バイクの速度を上げるためのブースターが作動する。
2人の志士は飛行バイクに乗り、異形へと飛んでいった。
その頃ビッキー達は、状況が変わらないまま、異形への侵入方法を考えていた。
どうやら、考えても浮かばなかったようである。
そもそも侵入したとして、敵の情報も知らぬまま戦えるかという点は、彼らの頭にはないようだ。
〜十五分後〜
"無駄に時間を使うのもいいじゃないかぁ。
それにぃ、私と居る時間は、何をしてても無駄にはならないだろう?"
ウィィィィィン
ウィィィィィン‼︎
ビッキー達の前に、巨大な乗り物らしき物を片手で持ったギークが現れた。
巨大な乗り物は"飛空艇"と呼ばれる物で、最初イギリスで開発された後、世界に拡散された近未来的飛行機械である。
平べったい甲板の下に操作室やリビングなどがくっついており、8つのプロペラを核融合エネルギーで回転させ飛行する。
全くその通りである。
ギークという男は重力に囚われすぎて、感性がおかしくなっているようだ。
ただまぁそんな男にも一定の常識はあるのか、それともさっきのわどるどの一言の影響か。
とまぁこんな具合に免許の確認と操縦のお願いをギークがしたのだった。
ただまぁ、クーデターなどやっているのだからこの際免許の事など気にしなくて良いだろう。
それでも気にしているのは、それほど帝国という存在が世間から恨みを買っているという事なのか、それとも事の重要性を彼らが把握していながらなのか。それはいずれ明らかになるだろう。
ともかくビッキー達は飛空艇を使い、異形の内部へと侵入していくのだった……
to be continued…
















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!