第8話

scene.7 脅威への覚悟
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2023/09/06 08:17 更新

異形の内部には敵兵が殆どいなかった。
しかしその代わりにモンスターがいる。
ビッキー達でも対応出来る範囲なので問題はないが、犬だったり触手の生えた花が浮いていたり、とても現実的じゃない物体ばかり出てくるのでそのうちビッキー達は、
ビッキー
ビッキー
……もしかして、ここにいた人間はこいつらに……
と、疑い始めた。
ギーク
ギーク
やめろやめろ。流石にそんなキメェ事にはなってねぇだろ
ファマス
ファマス
わかんねえぞ。さっきの緑色の植物とか人を飲み込めそうな口付いてたし
ギーク
ギーク
……うぇぇ、丸呑みして消化でもすんのか?
ん、でも人を食う植物っていたような気がするな
ビッキー
ビッキー
あぁ、いたなそんなの
少し怖い想像をしつつも、ビッキー達は3層を難なく抜け出し、第2層に進んでいた。第2層は空中に通路が浮いていて、リフトを使って移動するようになっている。

たまにスイッチを押さないと動いてくれない物もあったりして、ビッキー達は足止めを喰らったりもしていた。

そんな時だ。
ビッキー
ビッキー
なぁ、ギーク。この作戦は安吾さんの案なんだよな?
と、ビッキーが質問をした。
ギーク
ギーク
ああ。安吾さんが発案して、俺らで枠組み作って、最後に太宰さんと見直しを兼ねたミーティングをやったぜ
ビッキー
ビッキー
ギーク、太宰さんは含みのあるような事を言ってなかったか?
ギーク
ギーク
……んん?……んー……そういやぁ……


"何処にあるかの目星は付いているのかい?"


ギーク
ギーク
目星は付いているかって言ってきたな。普通に答えたが、それがどうした?
ビッキー
ビッキー
……
ビッキーは顎に手を当て、何か困惑するような表情を見せた。
ギーク
ギーク
……んん?
ビッキー
ビッキー
……いや、なんでもない。行こう





ビッキー
ビッキー
(……太宰さんならそんな事知っている筈だ。あの人は頭が良くて地獄耳。そんな情報を見落としたり聞き逃したりしない筈だ。つまり、何か別の意味が含まれている可能性がある……)


考えを巡らせる中、ビッキー達は第2層を進んでいく。

進んでいる途中で、ビッキー達は聞き覚えのある声を耳にした。
まちゃかり
まちゃかり
おらァァァァァ!!!



ビッキー
ビッキー
今のは……
ギーク
ギーク
騎兵隊のまちゃかりだ。何かと交戦中みてぇだな。合流しよう
ビッキー
ビッキー
まちゃかり……!?わかった、合流しよう


その時ビッキー達のいた足場の、横のリフトを使って移動すると、声のする部屋に通じているらしき自動開閉の扉がある。どうやら横のスイッチを押せば開くようで、ビッキーは躊躇なくスイッチを押した。

扉が開き、中のまちゃかりと奇怪な動きをする人型のゴツゴツした青い岩石で覆われた怪物が交戦している光景をギークが目にすると、重力操作を使って扉をこじ開けて中に入る。ビッキーやファマスもそれに続いて侵入する。
まちゃかり
まちゃかり
おらおらぁ!!どっからでもかかって来やがれ!!
ビッキー
ビッキー
まちゃかり!!
まちゃかり
まちゃかり
ん!?……うぉっ、ビッキーか!久しぶりだなぁ!!
ビッキー
ビッキー
前回の親族の集まり以来だな


ギーク
ギーク
あ?なんだ、まちゃかりとビッキーは知り合いなのか?
ビッキー
ビッキー
ああ。俺もまちゃかりも「女神の一族」だ


女神の一族とは、偽りの神を倒したとされる女神エクレールの子孫達の事である。彼ら一族は女神魔法を使用する事はもちろん、その他にも何らかの力を秘めている存在が、稀に生まれる事があるとされている。

ビッキーは異形攻撃を剣でいなしながら、まちゃかりと話を続ける。
ビッキー
ビッキー
それで、お前は1人で何をやってるんだ?
まちゃかり
まちゃかり
ギークと別れた後、うちの隊長のわどるどさんと一緒にここに乗り込んだんだが、途中でコイツに出くわしてな。それでわどさんを先に行かせて俺がこの場を引き受けたんだよ
ビッキー
ビッキー
なるほどな……っ


ビッキーが異形の攻撃を弾ききれずに吹っ飛んだ。異形がそのまままちゃかりに左腕を下ろしてくるのを、まちゃかりがキックでガードする。ガードによって生まれた隙を利用してギークが異形の腹の真ん中にパンチを決めた。

ギーク
ギーク
どうだっ!

異形は滑るように後退したものの、「うぉぉ……」というような呻き声を上げただけで、攻撃が効いてるようには見えない。体を覆う青い岩石も傷一つついていない。
ギーク
ギーク
何だコイツ……かてぇな
まちゃかり
まちゃかり
ああ。魔法も使ってみたが、大して効果は無かった。ビッキー、テメェも魔法使えるだろ!?
ビッキー
ビッキー
悪いが、魔法はそこまで触ってないんだ。……正直効くとも思えないが
まちゃかり
まちゃかり
……ちっ。だめかぁ
ファマスが試しに銃を取り出して発砲してみるが、やはり表面を掠めるくらいで効果はないようだ。
ファマス
ファマス
……そもそもが硬すぎるな。これはキッツイぞ……
ビッキー
ビッキー
そもそもコイツのレベルは幾つだ。耐久が高いのか低いのかもわからんままでは無駄に体力や時間を使ってしまうぞ
まちゃかり
まちゃかり
わかるわけねぇだろ。とにかく何回も攻撃して叩いていくしかねえぜ



まちゃかりが異形に蹴りを入れる。やはり異形の体に傷が入ることもなく、何も感じなかったかのように平然としている異形は、まちゃかりの方を向き、左腕を振り下ろしてくる。

まちゃかり
まちゃかり
くっ……

その時。
異形の後ろの壁が破壊され、異形が呻き声を上げ、左腕の動きを止めた。まちゃかりは困惑して、

まちゃかり
まちゃかり
んん!?

と声を上げた。



ビッキー
ビッキー
……まちゃかり、異形の背後をのぞいてみろ
まちゃかり
まちゃかり
は?……うーん……

まちゃかりが異形の横から背後を覗いてみる。

すると、そこには緑のセーターを着て黒いズボンを履いている黒髪の青年と、桃髪の桃色の着物を着た少女がいた。

黒髪の青年は……いもむしだ!


いもむし
いもむし
やぁ、ビッキー。下にいないからここに来てみたけど、まさかドンピシャで君のいる所に出るとはね
ビッキー
ビッキー
……来てくれたのか、いもむし
いもむし
いもむし
ああ。君が頼んだんだよ?そりゃあ来るだろう。さぁ、さっさと片付けちゃおうか




to be continued…

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