第6話

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2026/03/14 01:00 更新










 江戸の空気は 、 湿り気を帯びた熱気に満ちていた 。


 どこまでも赤茶けた砂漠が続く烙陽とは違う 。


 天を突く摩天楼と 、 江戸情緒の残る長屋が混ざり合った異様な光景に 、

 私はただ圧倒されていた 。






 心細さに足を早めた時 、 背後から下品な笑い声が降ってきた 。


 おいおい 、 見かけない面だな 、 
 この界隈じゃあ 、 通行料ってのが決まってんだよ 


 振り返れば 、 そこには数人の天人がいた 。


 一人は爬虫類のような鱗に覆われ 、 もう一人は異様に長い腕をぶら下げている 。


(なまえ)
あなた
 ...  ごめんなさい 、 急いでるの 、 通して  ...   
 冷たいなぁ 、 嬢ちゃん 


 冷たい銀色のナイフが突きつけられる 。 烙陽で生き抜くために最低限の護身は学んだ ___


 けれど 、 ここは異星だ 。


 騒ぎを起こせば神威を探す前に捕まってしまう 。


 私が覚悟を決めて拳を握り込んだ 、 その時だった 。






















??
 ____ おい 。 江戸の真ん中で公務執行妨害か ? 
??
 いい度胸してんじゃねェか 


 低く 、 けれど芯の通った声 。


 刹那 、 天人の一人が派手な音を立てて地面に沈んだ 。



(なまえ)
あなた
 ...  え 、 


 呆然とする私の前に 、 黒い隊服が立ちはだかる 。


 首元には金色の刺繍 。 
 背中には 、 抜かれたばかりの抜き身の刀が鈍く光っていた 。



土方 十四郎
 真選組だ 。 ……怪我はねぇか 、 お嬢さん 


 煙草を口の端にくわえ 、 紫煙を吐き出しながら振り返ったのは 鋭い眼光を持つ男 ____
























土方 十四郎
 名前は 、 江戸に来た目的は 
(なまえ)
あなた
 ...     
土方 十四郎
 黙ってちゃわかんねェだろ 。 
土方 十四郎
 ……お前 、 身寄りはいねェのか 


 連行された先は 、 真選組屯所の一室だった 。


 厳しい尋問を覚悟していたけれど 、 目の前の土方さんは 、 


 なぜかバツが悪そうに視線を逸らしている 。


土方 十四郎
 あー ...    その 、 なんだ 。 さっきは怖がらせたな 。 
土方 十四郎
 お前みたいな女が一人で歩く街じゃねェんだよ 、 ここは 




 ぶっきらぼうな言葉の裏にある 、 不器用な気遣い 。






 すると突然 、 襖が乱暴に開け放たれた 。 







??
 土方さーん 。 取調室で女の子泣かせてるって本当ですかィ ? 
??
  切腹ですね 
土方 十四郎
 誰が泣かせてるってんだ総悟 !  報告書書いてんだろーが !! 


 入ってきたのは 、 少年のような幼さを残した整った顔立ちの男 。


 彼は土方を無視して私の前にしゃがみ込むと 、 覗き込むようにして目を細めた 。


沖田 総悟
 へぇ……こりゃあいい 。 
沖田 総悟
 江戸の泥臭い女たちゃ違う 、 透き通った目をしていらっしゃる 
(なまえ)
あなた
 ...  な  "  、 
沖田 総悟
 あんた 、 神威って男を探してるんでしょ 。 
 あのバカのことなら 、 俺ァよく知ってまさァ 。 
沖田 総悟
 どうです 、 俺の下で働けば、あいつの首 ...  じゃなかった 、 
 居場所を教えてあげてもいいですよ 


 沖田の手が 、 私の頬をそっとなぞる 。


 熱のこもったその視線は 、 保護対象を見るそれではなく獲物を狙う猟師のようだった 。



??
 ちょっと待て総悟 ! いきなり口説いてどうする !! 


 さらにバタバタと騒がしい足音が近づき 、 


 大柄な男が飛び込んできた 。

近藤 勲
 お嬢さん ! 安心しなさい !  
 私の目が黒いうちは、この狼どもに指一本触れさせん ! 
  だが……そう 、 君のような清純な女性が宿なしなのは忍びない 
近藤 勲
 今日から君の部屋は私の隣だ 。 24時間、私が全力で警護ストーキングしよう ! 
土方 十四郎
 それアンタが1番危ねェだろうが !! 


 土方の怒号が響く中 、 私は呆然と彼らを見つめていた 。


 神威を探しに来たはずなのに 。


 なぜか江戸の治安を守るはずの「番犬」たちが 、 私を巡って牙を剥き出しにしている 。





(なまえ)
あなた
 ...   あの 、 私もう行っても  ...  ? 
沖田 総悟
 ダメでさァ 
土方 十四郎
 放っておけねぇ !! 
近藤 勲
 ダメだ !! 


 三人の声が重なる 。


 その瞳の奥にある 、 独占欲を孕んだ熱に気付いた時 。


 私の逃亡生活は 、 神威に出会う前から始まっていた 。







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