第26話

26.奪い愛⑤
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2018/03/16 18:32






「うぇえ、今日から早速放課後集まりがあるとか最悪かよ…っ」





放課後。

一ノ瀬くんはジャンケンで負けて、
班長になってしまい、
そして早速今日から班長の集まりがあるらしい。



「頑張ってね、一ノ瀬くん!」



私が一ノ瀬くんの応援をすると、
一ノ瀬くんは何かを思い出したように、
「あっ」と言った。

…どうしたんだろう?




「あ、あなたちゃんっ、俺のこと一ノ瀬くんじゃなくて、遊佐って呼んで!」


「…遊佐?」


「そうそう、じゃあ行ってくるっ」




一ノ瀬くん…じゃなくて遊佐はそれだけ言うと、嬉しそうに走っていった。

やっぱり少し親しくなると下の名前呼びの方がいいのかな。
確かに苗字+くんは呼び方的に長くなるもんねっ。




そういえば、今日。

翔先輩は生徒会の資料とじ込みの仕事があるから、とかで遅れるから先に帰っていてって言ってたっけ…。



でもいつも待ってもらってるから、
私も待っていよう…!

手伝えるなら私も手伝えばいいし。


そう思って生徒会室に向かった。





生徒会室の扉をコンコン、と鳴らす。




「今取り込みちゅー……って、あなた!」



生徒会室から出てきたのは翔先輩だった。

翔先輩は私を見るなり、
嬉しそうだけど驚いた顔をしていた。




「翔先輩っ、私も手伝えるなら手伝います」


「え、それはあなたに悪いし…っ」


「大丈夫です!」



半ば強引に翔先輩を説得すると、
翔先輩は私を生徒会室に入れてくれた。



「……すごい量」

「本当にいいの?あなた…」



机の上にあったのは100枚は超えてるであろうプリントの山。

翔先輩は1人でこれをこなそうとしてたのか…。



「2人でやったほうが効率いいですし」




そう言って私はプリントの山の半分位を持ち、
自分の手元に置いた。



「ごめんね、ありがと。一応プリントは纏まりになってるから、ホチキスで左上を留めるだけでいいから」


「はいっ」



翔先輩は私にホチキスを渡してきた。

そのホチキスでひたすらプリントをとじ込む。







ガチャッ




ガチャッ




ガチャッ





……作業してる時って無言になってしまう。


何か喋ろうかと思ったけど、
翔先輩が先に言葉を発した。




「そういえば、あなたってもう遠足近いよね、班は決まった?」



「一応決まりましたっ」



「誰になったの?」




そういえば、遊佐と翔先輩って若干不仲説出てるんだっけ…。

でも、嘘つく方がダメだよね…。




「桃果、由真、遊佐となりましたっ」


「……遊佐?」




その名前を聞くと、
翔先輩のホチキスを動かす手が止まった。






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