第24話

変わり始める景色。
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2023/05/05 00:13
金澤 結
(昨日のことがまだ鮮明に頭の中に映し出される。)
あの時、周りは驚いたような顔をした。それはそうだろう。この私が一瞬だけ笑顔になり、佐々木くんも笑ったのだから。滅多に王国の部下と話すことがない私が話していたのだ。一瞬でそのことは広まっているだろう。
私はベッドに寝っ転がりながらカーテンの隙間からさす日差しをぼーっと眺める。
ドアのノック音が聞こえ、「はい。」答えた。ドアがゆっくりと開き、使用人が入ってきた。ドアを閉めてドアの前で「おはようございます。」とお辞儀をした。
金澤 結
おはよう。
起き上がり、挨拶を少し頑張って笑顔を作って言ってみた。
使用人は驚きのあまり「え!?あ、おはよう…ございます…」と言い、考え込むかのように黙ってしまった。
私はいつも通り…じゃないわね。少し緊張しつつ、いつもの鏡の前の席に着いた。使用人はこちらが席に着いたのに気づき急いで顔を洗う用意をする。
私はゆっくり目の前のおけを覗き、手を入れ顔を洗う。手が冷え、目が覚めるようだった。渡されたタオルで顔を拭くともう、とてもスッキリした。
金澤 結
ごめんなさい。カーテンを開けてくれるかしら。
使用人はまた驚き、返事も無しにせっせと開けた。本当は私が開けたいけど…その事がバレると…お父さんとメイド長に怒られるからね。
窓の外は快晴だった。
金澤 結
綺麗だなぁ…
金澤 結
…いい天気ね。
自分の口からこぼれた言葉を急いで拾い、使用人に問いかける。
使用人は「そうですね。今日は気温が高くなるそうです。」と少し震えた声を出しつつもしっかりと話してくれた。私はとても嬉しくなった。顔から嬉しさが弾け飛びそうだった。
金澤 結
今日の朝食のメニューは?
使用人は私の髪をとかしながら答える。
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佐々木賢人
ふぅ、疲れたー!!!
俺は練習場の休憩場に座り込んだ。佐藤が発明した水筒を開け口に冷たい水を流し込む。
佐々木賢人
っぷはー!!…あー。頑張んねーとなー。
宇和崎 咲
しっかり休憩してんのは偉いわね。
宇和崎が後ろからタオルを渡してきた。
佐々木賢人
お、ありがとな。
タオルで顔を拭く。
佐々木賢人
今日めっちゃ天気いいなぁ。
宇和崎 咲
そうね。そうだ、練習なら私相手になるけど?
佐々木賢人
あー、お願いするわ。
今崎 聡
おー!お前らー、朝早くから偉いなー!脱水症になるなよー!
遠くから今崎が走りながらきた。
宇和崎 咲
もちろんよ。体調を壊したら元も子もないわ。
佐々木賢人
よし、じゃあやるか。
宇和崎 咲
おっけー。
休憩場から離れ、お互いに構える
剣が相手を指し示し、相手と息が揃ったら振るう。
今崎 聡
ひぇー、怖。めっちゃ速いじゃん。
佐藤 光
あれー、今崎じゃん。いつもこんなに速かったっけ?
今崎 聡
あ、おはよう。今日はたまたま早く起きてなー。
佐藤 光
おはよ。佐々木いる?
今崎 聡
佐々木なら今うわっちゃんと練習中。なんかあったん?
佐藤 光
あー、そうそう。これ、和田と一緒に作ったんだよねー。
光の手には水筒があった。
今崎 聡
これ、前お前が作ったやつじゃなくて?
佐藤 光
ううん、これは新しく作ったやつよ!中が凍るの!凄くない?!
今崎 聡
へぇー、すげーな。まるで夫婦みたいだなー、和田と光は。
光の顔が赤くなるのを見て、俺は少しニヤける。
今崎 聡
(へぇー、なるほどね。)
佐藤 光
ま、まぁ、そ、そうね。とりあえず!これ佐々木に渡しといて。今度もっと増やして騎士団に渡すつもりだって。
今崎 聡
りょうかーい。あ、そうだ、お前も聞いた?あの二人が仲良くなったって。
佐藤 光
あー、あの女王様と佐々木でしょ?なんか付き合ってるとも聞いたわよ?
佐々木賢人
はぁー!!?
佐々木が反応してきた。練習はもう終わり、佐々木が勝っていた。
佐々木賢人
いまな、なんつった?
佐藤 光
え、だからあんたと女王様が付き合ってるって話。
宇和崎 咲
え!?そうなの!?
今崎 聡
すげーな、佐々木。
佐々木賢人
いや、だからち、違うって!
今崎 聡
そんなこと言って〜、彼女さんが泣いてるぞ☆
佐々木賢人
お前!この!
佐々木の拳が振り落とされそうになった。
今崎 聡
わー!ストップ佐々木!!!
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金澤 結
え、今なんて?
私は王族専用の食堂で言われた言葉に驚いた。
金澤 華
結、騎士団長と付き合ってるの?
金澤 結
え、え、なにを仰ってるんですか?お母様…そんなわけないじゃないですか。
金澤 華
ほら、人は付き合えば変わるって言うし、あと、そういう噂が立ってるわよ。
金澤 結
違います、それはただの噂に過ぎません。お戯れもよしてください。
金澤 五十人
もう少し静かに食事出来んのかね。
父の一言に空気が凍った。静かになり食器の音しか響かない。
金澤 五十人
結、後で話がある。食後、私の部屋に来い。
金澤 結
…承知致しました。
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