松野
「…」
あなた
「私をこの前助けたのも、私をいいように使いたかったからでしょ…?」
松野
「…ッんだそれ」
「そんなつもりで一ノ瀬の手当をしたわけじゃねぇよ」
あなた
「いいよ、もう嘘つかなくて」
「……松野くんも不良だったんだね笑」
松野
「…!!」
松野くんは驚いた表情をしていた
バレてないもんだと思ってたのかもしれないけどもう分かっちゃったよ
あなた
「松野くんも、あいつらと同じ不良」
「そんな不良に助けられたくないの」
松野
「確かに俺は、一ノ瀬の言う通り不良」
「人はぶん殴ってきたし、一ノ瀬からみれば俺もあいつらと同等な存在かもな」
「でもほかの不良と違ぇことがひとつある」
松野
「俺は、一ノ瀬を助けれる」
あなた
「!!!」
松野
「俺はもう無意味な喧嘩は卒業した」
「誰かの為にこの拳を使うんだよ」
不良の言うことなんて絶対信じたくない
そう思ってるのに
なのになんでこんなにも
安心してしまうの
あなた
「……」
松野
「一ノ瀬は嫌かもしれないけど」
「勝手に助けさせてくれ」
そう言って私の頭に手を一瞬置いた松野くんはいつの間にか起き上がっていた不良たちの所へ向かった
松野
「おいクソ野郎」
「女を殴って楽しいか?」
不良A
「はっ笑んな愚問な質問してくんなよ松野」
不良B
「東京卍會壱番隊副隊長なだけあって、今のはちぃと効いたわ」
松野
「強がってんのも今のうちだ。そのダセェ不良スタイルも今日で引退させてやるよ」
不良A
「んだとゴラァ?!!!」
不良B
「不良のくせにブス女助けてヒーロー気取りかよ!!そっちの方がダセェんだわ!!」
松野くんがどれくらい強いのかは正直分からない
でも私を助けようとしてくれるその背中は大きくて逞しくて同い歳には思えないくらい
不良たちを煽ってるだけなのも飽きたのか松野くんは後ろにいる私を見て一言呟いた
松野
「一ノ瀬、少し被ってろ」
そう言うと松野くんの着ていた制服のジャケットが投げられ私の顔に被さり視界が見えなくなる
あなた
「…え?!ちょ松野くん?!!」
彼のジャケットをまた私が手に取るのは2回目
あの時と同じ
いい匂いがする
柔軟剤とはまた違った、爽やかな匂いがした
なんてことを考えていると大きな音が聞こえてきた
急に松野くんと不良たちの声がしなくなりどうしたのか不安になる
ジャケット被っとけって言われたけど、もうとっていいのかな?
何故か頭に松野くんのジャケットを被ってる私は勝手にとっていいか不安になる
松野くんに喋りかけようとしたその時松野くんの声が少し離れたところから聞こえてきた
松野
「…次あいつに手出してみろ」
「お前らもお前の仲間も全員この手で仲良く地獄に送ってやるよ」
松野くんの声はさっきよりも冷たかった
恐る恐るジャケットを取り、松野くんの声がした方へ目をやる
あなた
「……え」
そこには不良の前に怪我ひとつなく立つ松野くんと、顔が血だらけになった不良たちがいた
う、、そ………
あの不良を松野くん無傷で倒したの…?
松野くんって、、想像以上に強い?!
松野
「最後にひとつ意識失う前に言っとく」
「一ノ瀬はかわいいから。ブスって思えるその腐った目治しとけよ」
ドキッ
あなた
「なっ!!!」
不意に言われた言葉に驚いた私は大声を出してしまった
その声に反応した松野くんは驚いた顔をして私のほうへ振り返った
松野
「は?……え、もしかして聞いてた?」
あなた
「う、うん気になってジャケット取ったらその……聞こえた」
松野
「っっまじかーーーーー」
「でもまぁ俺の言ったことは間違ってねぇし」
さらっとすごいこと言ってるよ松野くん…
あなた
「……じゃ、ジャケットはい返す」
恥ずかしいのを隠すように私は松野くんにジャケットを押し付ける
松野
「俺のジャケットは今日から一ノ瀬の為にあるもんだから」
あなた
「わ、私のため……?」
よく分からない
殴られてたからか頭の回転がイマイチうまくいかない
なんで松野くんのジャケットが私の為に…?
松野
「不良同士の喧嘩なんて、お前には見せたくない」
「…だから一ノ瀬になんかあった時は俺が助けて嫌なものは見せねぇから」
不良なんて大嫌い
人を平気でぶん殴れるその冷酷さの精神はどう頑張っても理解し難い
でも
松野くんの手は暖かいのを私は知った
私なんかをたすけてくれる松野くんに私は一瞬で心を奪われた
あなた
「…さっきは助けようとしてくれたのに冷たい事言ってごめんね」
「不良は嫌い」
「でも、松野くんみたいなちゃんと何かを守れるかっこいい不良は好き」
松野
「っ!!!!」
あなた
「あ、ありがとう松野くん!!」
この場にいたら私の熱が触れずとも松野くんに伝わりそうで走って逃げる
その時後ろから大声で松野くんが叫んだ
松野
「一ノ瀬!!!!」
「俺のこと千冬って呼んでくれ!!!俺も一ノ瀬のことあなたって呼ぶわ!!」
ちふゆ…千冬くん
あなた
「…千冬くん」
誰にも聞こえない声で私はこっそり名前を呟いた
もう冬に近づいてるのに校門を出ても
体は熱いままだった










編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。