ぼぉっとした目をして喋る黒田。
だが今度は はっきりした口調だ。
まだおぼつかない足で立ち上がり、いつものように後ろで手を組んだ。
覗き込むように見上げる黒田にそう吐き捨てる。
家康と明智が去り、ため息が出る。
と、体が後ろにふらついた。
しかし倒れず、何かにもたれる形になった。
ベンチに座らせ、待ってろと声を掛けた。救急箱を取りに校舎に進もうとした。
だが、手を引っ張られ動けなくなる。
いつにもまして真剣な目をした黒田がそこにいた。
~~~~~~~~~~~~~~~~
ネオPBB作戦決行当日。
腕を腰にやり、やる気満々といった秀吉がホワイトボードを見る。
本人は今回なにもしないが。
そう気付くと、すぐさまカードフォンを取り出す。
ドアから談笑しながら酒井と榊原が入ってきた。
旗印の提出を任せていた二人だ。
続いて秀吉が驚いたような声を出す。
~~~~~~~~~~~~~~
酒井達がドンドンと扉を叩く。
井伊が旗印を書き換えた上に、音楽ホールに立て籠ったのだ。
音楽ホールに居なかった場合、逃亡と見なし、敗北となってしまう。
井伊は勝ち役達を時間までホールへ入れないつもりだ。
ゆっくりと後ろに下がっていく本多。
アナログと言えどもその姿は猪突猛進。このまま行けば本当に開きそうな勢いだ。
しかし扉を開いたのは、本多ではなく、井伊だった。
膝を床に着いて、周りに向かって頭を下げた。
苦々しく口を開いた井伊を、荒々しく立ち上がらせる。
その目は黒田を殴ろうとした時と同じだ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。