アロハ side
熱があると気づいてからは、最悪だった。
頭痛いし、寒いし、関節も痛い。
ホテルのベッドで目を覚ました瞬間、「終わった……」と思った。
しかも喉もやられてる。
スマホを見ると、メンバーのグループLINEが通知だらけだった。
< 99+ 超特急(9)
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今日
いや、親か。
ぼーっと眺めていたら、部屋のインターホンが鳴った。
開けると、タクヤくんがいた。
絶対半分嘘だ。
でも、その言い方がタクヤくんっぽくて少し笑った。
測ると38.8。
そう言って、俺の頭をポンポンとしてくれる。
ベッド脇の椅子に座りながら、タクヤくんは自然にペットボトルを開けて渡してくる。
なんか、妙に慣れてた。
そのあと薬を飲んで、ゼリーを少し食べた。
でも途中で力尽きて、スプーンを持つ手が止まる。
普通なら「ちゃんと食べろ」って言われそうなのに、無理に食べさせない。
それが逆にありがたかった。
しばらく沈黙が続く。
でも気まずくはなかった。
タクヤくん、スマホ見ながら普通に部屋にいるし。
言ってから、「何言ってんだ俺」と思った。
さすがにキモいかもって。
でもタクヤくんは笑わなかった。
その言い方があまりにも自然で、なんか安心してしまう。
熱のせいだと思う。
たぶん。
静かな声だった。
変に励まさないし、大げさにも心配しない。
でもちゃんといてくれる。
それが、今はめちゃくちゃ助かった。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。