第53話

直弘⑤
220
2020/04/16 13:32
翌朝。
直弘は本当に何もしてこなかった。
基本的に男の"何もしない"は嘘だと思ってた私は、こんな人も居るんだって思った。

『直くん、おはよう!』
「あまねちゃん!おはよう!」
『昨日は話してくれてありがとうね。』
「あまねちゃん、そんな顔で見ないでよ。可愛い過ぎて理性飛ぶから!」
『はっ?そんな顔って言われても生まれつき、この顔だから(^^;』
「あまねって呼んでも良いかな?」
『全然いいよ。』
「あまね、うん何か良い!」
『何それ!』
すると直弘は、「ごめん。」と一言だけ言った後、私を抱き締めた。
『ちょちょっと!どうしたの?』
「我慢出来なくてごめん。何もしないって言ったのに。でも本当にこれ以上は何もしないから今は、このまま話したい。」
『わかった。』
「あまね、今想ってる事、何でも良いから話しほしいなと思って。」
『私の気持ちって事?』
「うん、そう!何でも良いから聞きたい。」
『わかった。今考えてる事、全て話すよ。』
そして私は今の気持ちを話した。
『明斗の事。涼の事。引きずっててね。トラウマみたいになってて。好きな人に裏切られたり傷付け合ったり。もう、そうゆう恋愛はしたくない。ありのままの私と向き合って好きになってくれて。私も好きになって。お互い思いやりながら次の彼氏とは付き合いたいの。自分の気持ち偽ったり隠し事したり。もうそんな苦しい恋愛したくないの。普通の恋愛がしたいの。好きなら好きって言って会いたい時は会いたいって言って。私はプレゼントとか何も要らない。ただ私を大切にして想ってくれるだけでいいの。』
「あまね、話してくれてありがとう。あまねの気持ちわかったよ。それを聞いても俺の気持ちは変わらないから。」
『うん、ありがとう。ちゃんと考えるから。』
「ゆっくりで良いから。」
『うん。わかったよ。』
そして私達は着替えてホテルを出た。

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