岸くんの家にお邪魔した日から数日が経った。
特に変わりはなく、俺はいつも通り仕事をして、時間が空いたら岸くんのバイト先のカフェに行っている。
もちろん、いつも飲んでいるカフェラテは美味しいが、岸くんの働いている姿を見ながら飲むとその美味しさがさらに際立つ。(変態ですし、失礼ですよ by秘書)
そして、俺の仕事が休みであったり午前中で終わることがあれば岸くんの家に行って家事の手伝いをしている。
平日は妹さんたちは保育園に行っているから大丈夫らしいけれど、土日の休日は見てもらえないらしく、家で2人だけなのだという。
さすがに心配だから代わりに俺が面倒を見ると言った。
岸くんはそれに対してすごく申し訳なさそうにして断ってきたけれど、あれやこれやと言いくるめて渋々了承してくれた。
下の子たちも、まだ幼いけれど岸くんが毎日自分たちのために色んなことをしてくれていることを分かっているようで、少しでも楽になってほしいという提案があって、岸くんもそれに従った。
そうしてから、岸くんの負担はだいぶと軽減したようで顔色もよく目の下にあった薄い隈も綺麗に無くなっていた。
ちゃんと睡眠が取れているようで俺も安心する。
なにより、子どもたちがとても喜んでくれた。
それが嬉しくて、これからも続けていこうと思っていて矢先に、岸くんからある連絡がきた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。