無料ケータイ小説ならプリ小説 byGMO

第10話

10話
二週間が経った。

その間、神谷に脅されつつやらされたことは、購買でお茶を買うことと授業で男女ペアを作る時に一緒に組むこと。意外と大したことはやらされてない。

ていうかあいつ、バラす気ないんじゃ……。

「……あぁあ!!」

「えっ、何?」

隣の席に座るはるちゃんがビクッとした。

驚くのも無理はない。何せ、挨拶を交わして席に着いた直後、唐突に私が叫んだのだから。

私は机に突っ伏し、顔だけをはるちゃんに向けて言った。

「なんかさぁ……私って本当にバカだなって。前まで大嫌いだった奴のこと、色々あるうちにいい奴かもとか思い始めてるの……。認めたくないけど、既に嫌いじゃないし」

「んー……それ、男の子?」

「…………うん」

少し迷ったが、相手がはるちゃんなので嘘はつかないことにした。

「じゃあ、いい感じだね」

「……何が?」

「いつかあなたちゃんの彼氏になるかもしれないよ、その人」

「それはない。ありえない。だってあいつ、私のこと――」

言いかけて、はたと気がついた。

“だってあいつ、私のこと好きじゃないもん”


……つまり……私は、あいつを?


「いや違う。そういう『好き』じゃ……」

「はよ、赤城」

ビクゥッと私は過去最高に驚いた。

振り返れば、大きすぎる私の驚きように「どうしたんだ」と言いたげな神谷。

「お、おはよ……」

さっきの聞かれてないよね?

「ん。悪い、ちょっと来てくれるか?」

「いいよ。はるちゃん、ちょっと行ってくるね」

席を立ち上がり、神谷のあとをついていく。

教室を出たところで隣に行き、神谷の横顔を見上げた。

「どこ行くの?」

「校舎裏」

「え、まさか告白に私を同伴させる気?」

「んなわけあるか。友達から、寝坊して電車に乗り遅れたから、代わりに花の世話しといてくれって頼まれたんだよ」

朝に花の世話……って言うと、園芸部の人かな。多分、目立たない人が多い部員の中で謎の明るさを放つあの男子だ。前に二人が話してるとこ見たことある。

そうじゃなかったらあの人?一昨日くらい、神谷がノート運ぶの手伝ってあげてたし……。

「…………」

なんか私、何気に神谷のこと見てない?

いや、普通だろう。今までが見なさすぎたんだ。朝した会話のせいで変な風に考えてしまうだけ。

そう結論づけて階段を下り、下駄箱にさしかかった時だった。