第4話

入学式当日〈放課前〉
54
2026/04/03 05:54 更新
全ての席が埋まってから少し経つと、教室の前のドアががらがら開いて、恐らく担任の先生が入ってくる。クラスの子たちはだれか知っているようで、少し色めき立っているのが気まずかった。
ギフン
やあやあ皆、おはよう!遅れてごめんな~。実は、ミニョ先生から給湯器が壊れたとかなんとかで見て欲しいって頼まれて…
デホ
あれ。担任、ギフン先生なんですね。っていうか、またですか?どうせミニョ先生が誰かに色目を使ってたのを邪魔したんじゃ…
ギフン
こら、デホ!なんてこと言うんだ。確かに名乗り出たとき嫌そうな顔してたけど…っと、ほらほら並んで!入学式に遅れる!
先生のあわてたような一言で皆ががたがたと椅子から立つ。
ジヨン
なるほど、担任はギフンセンセかぁ
ジヨン
よかったね、セビョク?
セビョク
だから、別に私はあの人なんて何とも思ってない!
セビョク
さっさと行くよ!
セビョク
あなたも!!
あなた
う、うん…2人は、あの先生と知り合いなの?
並び順は特に決まっていないようで、ジヨンとセビョクは私の後ろに並んだ。
ジヨン
うん。でもあたしよりセビョクの方がよく知ってるんじゃない?お世話になったんでしょ
セビョク
まぁ…世話になったのは事実だけど……別にあの人は誰にでも優しいし
セビョク
………にやにやするな!
あなた
そっ、か。良かったね、仲のいい先生で
セビョク
別に仲良く無い……あと、あの人はおっちょこちょいなだけで悪い人じゃないから
セビョク
………だから笑うな!
ジヨン
いやぁ~?さっきからあたしは微笑んでるだけだよ?気にしすぎなんじゃない?
ジヨン
というわけであなた!自己紹介はたぶん入学式のあとでやると思うから気にしなくていいよ
ジヨン
あと、体育館入ったら静かにね。な~んか他学年の先生怖いんだよな~
セビョク
ジヨンがふざけすぎなだけでしょ

ギフン
みんな~
ギフン
入学式で、ひとりひとり名前を呼ばれるから、ちゃんと大きな声で返事するんだぞ。立たなくていいから
ギフン先生?が大きい声でみんなに呼びかける。立たなくてよいのは正直ありがたい。そんなことを考えているうちに体育館についた。
イノ
皆さん、まずは進級並びにご入学おめでとうございます。しかし、これからは高等部の一員として、第一校舎の後輩に誇りをもって接することができるようにより勉学に………
公式の場での教師の話が長くて眠くなるのは全国共通らしい。あくびを噛み殺しながら2人の方を向くと、隣でジヨンが大船を漕いでいた。
あなた
ちょ、ジヨン!?起きて、そんなに頭揺らしてたらばれちゃうよ!!
セビョク
いいよ、寝かしときな。あとで怒られるのはこいつだけだから
あなた
でも、このままにはしておけないでしょ。ジヨン、起きて~、ジヨン、ジヨン?
セビョク
はあ…………
セビョク
………………………げ
あなた
どしたの、セビョ…………げっ
セビョクが前を見て冷や汗をかいていたので私も前を向くと、壇上で話していたイノ先生が、話を続けながらこちらをにらんでいた。あれは後で絶対に怒られるやつだ……ジヨンも連れて行かねば。私だけが怒られるのは嫌だ!別に私わるくないし!

その後は、眠たげなジヨンを起こすのをあきらめたおかげで順調に進んだ。オ・イルナムという学園長が思ったよりも年を食っていたのが意外だったが、演説によると彼が一代でこの学園を作り上げたらしい。あまりにもスケールの違う話に眠気は一切起こらなかった。
ギフン
あのな、ジヨン?確かに、イノ先生の話はいつも退屈だし眠くなるかもしれないが、かといって式中に寝るのはダメだからな?
ギフン
あと、あなたとセビョクも。俺は起こそうとしただけならいいと思うんだが、他の先生に怒られるかもしれないから、次からは起こそうとしなくていいからな。もしまたジヨンが寝たら、俺が起こすから。
入学式のあと、当然といえば当然だけど、先生に怒られた。でも、ありがとうな。と言われても理不尽だ!と思ってしまう。まあ、セビョクが言っていたとおり、ギフン先生がいい人だということは良く分かったけれど。

ひとしきり説教をくらった後、私たちは教室に戻された。
デホ
お、お帰り~!災難だったな、あなた、セビョク
ジヨン
たっだいま~
あなた
ただいま……
セビョク
はあ…完全にとばっちり受けた……
ギフン
ジヨンはもっと反省しろ!………ったく。
ギフン
………よし!外進生もいるし、たぶん初めてのヤツもいるはず。ってことで、自己紹介をするぞ!
ギフン
まずは、俺から!俺はソン・ギフン。実家は双門洞で、バツイチ。好きな食べ物はキムチで、嫌いなものはない!よろしくな!
ギフン
次は……じゃあ、右の一番後ろの席からいくか、ヨンミ!
ヨンミ
は、はい!ヨンミ、です。趣味は、音楽を聴くこと…です。よろしくお願いします。
MOB
ハジョンです。趣味は~ダンス?かな。よろしく~
MOB
俺はソンホン。趣味はゲーム。最近、最新型のヤツ買いました!よろしくお願いしま~す
デホ
デホです!大きい虎でデホ!よく買い食いしてるんで、おいしい店いくらでも知ってます!よろしく!
MOB
ヨンジュンです。宜しく。
セビョク
セビョク。別に誰とも仲良くする気はないから。
ジヨン
ジヨンでーす。趣味は……ん〜…遊ぶこと?よろしく〜
順調に皆の自己紹介が進んで行き、とうとう私の番になる。何を話せばいいのやらさっぱりだが、とにかく何かを言わなきゃ…!
あなた
え、えと…あなたの名字・あなたの下の名前です。趣味、趣味は……音楽です!!よろしくお願いします……!
終わった。何だ、趣味が音楽って。ジヨンが吹き出す声が聞こえた気がする。しかし、とにかく自分の番は終わった。終わったのだ。一抹の不安を抱えながら人の自己紹介を聞く。帰りのホームルームは、何の滞りもなく数分後に終わった。
ギフン
よし、じゃあ今日はこれで帰りだけど、明日からはちゃんと6限まできっちりあるからな!あと、部活見学も明日からだから、行きたい部活があったらちゃんと忘れず見に行くように!
ギフン
じゃあ委員長〜……は、まだ居ないんだっけか。
ギフン
んじゃ、今日は俺がやるか。
きりーつ、れーい、さようなら〜!
一同
さようなら〜!

プリ小説オーディオドラマ