「何もしてない。ただここにいるだけ。ここで1人湖に映る景色を見るのが好きなんだ。ただそれだけだ。君は?」
「逃げ出してきたんだ。なにもかも嫌になって…そんな時にここに来るんだ。」
「なんで初対面のお前に話さなきゃならないんだ?」
「手を出したけど何をするんだ?なんで手を握り合うんだ?」
「なんだそれ?友達?」
「分かったよ…」
それはたわいもない時間だった。しばらくして夕立になる。
「まずいな…もう遅い…近くまで送るから着いてこい。」
「なんか…調子狂うな…」
戸惑いながら案内して村の近くまで来た。
「ここまで来れば大丈夫だろ。」
「別にいい。さあ行けよ。もう暗くなる。」
そう言うと少女は走り出したが途中で振り向いて言った。
「えっ名前…名前は○○○○○○」
「ああ…気をつけて帰れよ。」
手を振り姿が見えなくなるまで見続けた。
「また会おうなんて約束したの…初めてだ。」
不思議な気持ちに包まれながらその人物は森に戻っていった。
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呼ばれていたことで目を覚ました。
これは誰にも知られてはいけない……カーナ達乗組員にもましてや主人公には…絶対に…
主人公に軽く誤魔化して仕事に戻った。
しかしなぜ今思い出す。
これはもう封印したはずだ…忌々しき古い記憶に…
でももう無理なのかもしれない。
遠目から主人公を見ると魂が不安定で壊れかけている。もう今回しかない!きちんとこの意味を解決させないと…
そう言われましたが私はやはり覚悟がありません。今こうしているうちにも恐怖でどうにかなってしまいそうだ。
それを隠すように帽子を深く被り平然と歩き出した。
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一方地獄では
「とりあえず今は抑えているが原因はわかるか?」
「そうか…なら良い。ワシは戻る。」
マジシャンはそう呟き車掌のいる列車へ向かった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。