中島 敦 🐯
「……っあ、いや…今のは」
貴方に僕の事なんて分かるはずない。
過去に触れられて、怒鳴る様に言葉を放ってしまった彼
まさかそんな事を言われるだなんて思っていなかった
貴方は、直後涙が溢れ出し、鼻先を赤らめた。
其れを見て血の気が引き、彼は慌てて言葉を尽くした。頭の中は混乱と罪悪感で満ち、なんとか涙をとめようと、貴方の両手を、優しく握ってみる。
溢れるばかりの涙を見つめて、自分も半ば
泣いてしまいそうになる彼。
謝って、謝って、こんな愚かな自分でも許してほしいと、
泣く貴方に彼は縋り付く。
貴方の泣く姿を、もう二度と見たくないから___
太宰 治 🤕
「…なに………泣いてるのさ…」
軽く挑発したつもりが、貴方を泣かせる結果になった彼
泣かせた女は数しれず、他人なんてどうでもいい彼。
けれど、貴方が泣いてしまったら、流石の彼も動揺する
大丈夫、今までだって言葉一つで、
相手を促す事が出来たじゃないか。
そう自分に言い聞かせながら、なんとか重い口を開くと、滲み出た言葉は、素直な一言。
「…ごめん」
逃げ口を叩くわけでも、言い訳を並べるわけでも無く。
泣いてしまった貴方を見つめて、ごめん、ごめんね
と、声を震わせて貴方に抱きつく。
ただ、弱々しく、彼は貴方が離れる事を拒んだ。
貴方には側にいて欲しいから_____
国木田 独歩 🖋️👓️
「……っ、すまない!!その、泣かせたかったわけでは」
ちょっと言葉がきつ過ぎた彼。
貴方が泣いてしまうのを見て、どうしていいかも
分からず、拙い謝罪を大声で叫ぶ。
まさか自身が女性を泣かせるなんて、手帳にも書いていなければ、泣き止ませる方法も分からない。
貴方の目から涙が溢れかえるのを見ると、何もせずにはいられなくなり、とりあえず手持ちのハンカチで
貴方の顔面をこする彼。
ゴシゴシとこする彼。
動揺して怒る貴方に、素直に怒られる彼。
ただ、泣いた顔が見たくないと思ったから___
谷崎 潤一郎 ❄️
「…す、スンマセンした!!!!」
貴方が泣いたのを見かけて、躊躇いもなく
スライディング土下座をする彼。
いきなり強い口調を使っただけで、こんなにも
簡単に泣いてしまう貴方を見て、冷や汗を流す。
内心、少し可愛いと思ってしまったから____
江戸川 乱歩 🍭👓️
「……ごめん、今のは……言い過ぎた」
つい勢いに任せて口論しちゃった彼。
普段の様に威張るわけでも騒ぐわけでもなく、
貴方が泣いてしまった時は、泣き止むまで近くに
居てくれる。
叱られた子供みたいに悲しい顔を、貴方と二人の時にだけ見せて、少しだけ弱い名探偵は、貴方にしがみつく。
だって、嫌ってほしくないから_____
中原 中也 🎩🍷
「……は?」
喧嘩して泣かせたのに、泣いてることに驚く彼。
これは自分が泣かせたのか、いや明らかにそうだ。
どうすれば良い、女の慰め方なんざ分かんねぇ。
などと、顔を蒼白に変化させて思考を回転させる間に、
貴方の涙がどんどん溢れて、その度に
思考が停止しそうになる。
悪ぃ、その一言を耳元で囁くと、あとはただ無言で
貴方を抱きしめるだけ。だってそれしか、泣き止む方法が思いつかなかった。
貴方が泣き止んでくれるなら、何でもよかったから__
芥川 龍之介 👿
「…何故、泣く?!」
君が泣かせたんだよ。
あまりに言葉が酷いから、貴方は泣いてしまった。
当然のことしか言ってないと思ってる彼。
紆余曲折ありながら、なんとなく、貴方の頭を
撫でてくれる。
自分がされて、一番嬉しかったことだから___
フョードル・D 🐀
「……その顔が見たかった」
その顔が見たかった感じの彼。
貴方の嗚咽が、苦しむ声が、涙を流す姿が、
どうしても見たかった感じの彼。
謝罪する気も泣き止ませる気もない、
だってもうちょっと見てたい感じの彼だから。
泣いてる弱い貴方を見て、ただ彼は笑ってみせる。
あまりに泣く貴方が愛らしいから______
ニコライ・G 🕊️
「どうして泣くの」
貴方が言う事聞かないから、足切断しちゃった感じの彼
貴方が一緒にいてくれないから、自分から
逃げられないように貴方の足を切っちゃった彼。
本当になんで泣いてるのか、分かんない彼。
だけれど、貴方の泣く姿は見ていてとても気分が良いから、可哀想だね、とだけ表面上言って見せ、笑う。
ずっと泣いていてほしいくらい。
今の貴方が一番可愛いから____












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。